2012年は国連気候変動枠組条約が1992年のリオ地球サミットで採択されてから20年目にあたる、世界の環境外交にとって節目の年。また、京都議定書の下、日欧などの先進国が温室効果ガス排出削減の義務を負ってきた第1約束期間の最終年でもあり、明年からの世界の温暖化対策のあり方について内外で様々な議論が行われています。
本年末にカタールのドーハで開催されるCOP18では、昨年のCOP17での「ダーバン合意」を踏まえ、全ての締約国に適用される新たな国際枠組みの構築や、京都議定書「延長」問題、途上国支援などの課題について議論がなされる予定です。
本連載では、これまでの気候変動交渉の歴史を振り返りつつ、特にコペンハーゲンCOP15以降の動きに焦点をあてながら、近年の国際交渉における主要論点と日本の対応、新たな国際枠組みの展望、日本の果たすべき役割について、主に外交的観点から論じていきます。外からは見えにくい、国際交渉の現場についても紹介します。

加納 雄大(かのう たけひろ)/ 外務省 前気候変動課長
1968年生まれ。東京大学法学部中退。ケンブリッジ大学経済学修士。89年外務省入省。アジア局(現アジア大洋州局)、北米局、経済協力局(現国際協力局)、在米国日本大使館、総合外交政策局などでアジア、日米関係、政府開発援助(ODA)、地球規模課題等を担当。2010年1月より国際協力局気候変動課長として、COP15(コペンハーゲン)から、COP16(カンクン)、COP17(ダーバン)に至る、国連における気候変動交渉に従事。本年9月より総合外交政策局安全保障政策課長。

このたび、「環境外交:気候変動交渉とグローバル・ガバナンス」が 信山社より出版されることになりました。近年の気候変動交渉を紹介してきた本コーナーでの連載をもとに一部加筆を行い、交渉現場の雰囲気を伝える写真・コラムや、コペンハーゲン合意などの資料も追加しています。ご関心のある方は是非ご一読ください。
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