従来の地球温暖化説は正しいのか

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監訳 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志 訳 木村史子

本稿は、Richard Lindzen, An Assessment of the Conventional Global Warming Narrativeの本文を、The Global Warming Policy Foundation の許可を得て翻訳したものである。

概 要

 温室効果の一次元的な描像と、その中で二酸化炭素が果たす役割は、現在の気候と地球温暖化の説明の主流となっている。このメカニズムにおける二酸化炭素の役割は、現在の気候や地球温暖化に関する説明を支配している。本稿では、この一次元的な考え方を簡単に紹介する。そして次に、三次元の気候系を扱う上での欠点について述べたいと思う。まず、一次3元の温度と現実の地球の温度がどのように対応するかを決めることが課題である。地球は多くの気候レジームを持っているというのが伝統的な認識であった。さらにいえば、熱帯と極域の温度差は数千年の間に大きく変化しているが、同時に熱帯の温度はほとんど変化していない。一般的に言われているのは、熱帯での小さな変化が高緯度で増幅されるという仮定である。ただこの仮定には何の根拠もない。むしろ、この差は大気と海洋の動的な熱流束によって決定され、その中でも大気中の傾圧不安定性によるものとされるという説が支配的である。平均気温の変化は、主に熱帯と極域の差の変化によるものであり、温室効果によるものではないのである。熱帯からの熱流束が大きく変化しても熱帯の気温は安定していることは、熱帯の放射対流応答に強い負のフィードバックが存在することを示唆している。最後に、いわゆる気候変動の影響について述べたい。

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