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中国のエネルギー超限戦


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監訳 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志   訳 木村史子 

本稿はPatricia Adams, China’s Energy Dream, The Global Warming Policy Foundation Briefing 58
https://www.thegwpf.org/publications/fossil-fuels-for-china-decarbonisation-for-everyone-else/
を、The Global Warming Policy Foundationの許可を得て翻訳したものである。

概 要

中国がCOP26で、化石燃料の使用継続を支持するような表現にこだわったのには、2つの切実なニーズがある。まず、石炭、石油、ガスがなければ、中国の経済は衰退し、共産党政権の正当性が失われてしまうこと。そして同様に、化石燃料がなければ、中国の習近平国家主席が掲げる「中華人民共和国建国100周年となる2049年までに中国を世界の最高権力者にする」という大目標を達成することはできないということである。
中国は気候変動問題を、自国の経済を強化する手段として、また他国を弱体化させるための武器として利用している。しかし、再生可能エネルギーのインフラは、信頼性が低く(したがって、火力発電のバックアップが必要)、コストが高く、出力の抑制率が高いのが現状である。しかし、国内の自然エネルギー施設は、欧米の環境保護主義者が視察するための効果的なデモンストレーションプロジェクトとして機能している。欧米環境保護主義者は自国の政府に高価で信頼性の低いエネルギーを購入するよう働きかけている。購入が実現すれば、欧米の2つの損失に対して中国が2つの勝利を手にすることになる。
中国は、欧米に不便な自然エネルギー技術を売って利益を得るのをお手本にして、電気自動車市場を独占したいと考えている。
欧米諸国は、一方的な気候変動政策を追求することによって、戦時中の破壊工作員のように、エネルギーコストの上昇、停電、その他の供給不足によって自国経済に足かせを与えている。ネット・ゼロ・アジェンダほど、欧米の経済を麻痺させる武器はない。中国の「軍隊」には、欧米の環境NGOやメディアが含まれており、彼らが一体となって頭の弱い政治家たちに指示を出している。
共産党政権が生き残るためには、経済成長のための化石燃料を確保しなければならず、そのために国家のあらゆる資源を投入しているのである。
中国国内でCO2削減を進めることは、共産党支配の維持や、2049年に世界第一位の超大国になるという目標には役立たない。中国の指導者にとって、これは特に考えるまでも無いことだ。中国共産党にとって、二酸化炭素の削減は、中国共産党が害を加えて取って代わろうとしている敵国にとってのみ、意味があることだ。

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【 著者紹介 】
 パトリシア・アダムスは経済学者であり、トロントを拠点とするNGOであるプローブ・インターナショナルのエグゼクティブ・ディレクターを務めている。プローブ・インターナショナルは、1980年代半ばに中国の環境保護運動が始まった当初から、『Damming the Three Gorges(三峡ダム)』などの書籍の出版や、英語と中国語で発行されるニュースポータル『Three Gorges Probe』の発行を通じて、中国の環境保護運動に関わってきた。
 中国の民主化運動のきっかけとなった『Yangtze! Yangtze!(揚子! 揚子!)』の英訳版の編集者として、また、中国の環境危機に関する書籍や雑誌への寄稿者として、彼女は中国の環境政策の権威である。アダムス氏は、「世界熱帯雨林運動」や「国際河川ネットワーク」の創設者であり、アメリカやカナダの議会や委員会で証言を行っているほか、BBC、CBC、NPR、ABC、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、グローブ・アンド・メール、ナショナル・ポストなどの主要メディアにもたびたび登場している。

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