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NOLA洋上風力の競争力


国際環境経済研究所所長、常葉大学名誉教授


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(「EPレポート」からの転載:2021年9月12日付)

 米国ニューオリンズは、ルイジアナ州(LA)にあることから、ノラ(NOLA)と呼ばれる。フランス領だったことがあり、フランス風建物が残るフレンチクオータと呼ばれる地区が観光の中心だ。ジャズ発祥の地として、また美食の街として知られている。米国人が生涯に行きたい街が3つあると言われているが、首都ワシントン、ケーブルカーの街サンフランシスコとノラと言われているほど、独特の雰囲気がある街だ。そのノラはメキシコ湾に面しておりハリケーンに度々襲われる。

 今年も、8月末に大型ハリケーン・アイダの来襲があり、市内に電気を送る8本の送電線全てが切断したことから大規模停電が発生した。100万軒以上が停電し、9月12日時点でも、16万軒以上が停電したままだ。風力発電設備があれば、ハリケーンにより被害を受けたのではないかと心配になるが、ルイジアナ州には風力発電設備は殆どない。ニューオリンズの海岸線は遠浅で知られており、いま内務省海洋エネルギー管理局が洋上風力設置区画を検討中だ。

 また、ノラにはGEの風力研究所、ブレード製造工場、海上油田開発のための大型設備積み出し港湾もあり、洋上風力発電設備設置には打ってつけの土地だ。民主党の州知事も積極的であり、独自の補助制度もある。なぜ今まで設置が進んでいなかったのかと思うが、発電コストの問題だった。

 2016年ロードアイランド州沖に初めて設置された洋上風力設備の発電コストは、当初1kWh当たり25セントと予測されていたが、現状それ以上になっていると言われている。風量に恵まれ、洋上風力設置のため条件が揃っているノラでも発電コストは高いのではとの懸念がある。日本でも洋上風力の検討が進んでいるが、ノラとの比較では、港湾設備、設備運搬・工事、自然条件など、さらにコストアップ要因がある。固定価格買取制度が当面は支援することになるが、日本の洋上風力にコスト競争力はあるのだろうか。



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