藻類バイオ燃料で旅客機を飛ばしたユーグレナ社


YSエネルギー・リサーチ 代表

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 東大発ベンチャーとしてユーグレナ社が発足したのが2005年8月。社名と同じユーグレナ(藍藻類で和名はミドリムシ)をバイオ燃料や食料に利用できるようにして、サステーナブルな社会を実現するのが事業目標となっている。筆者がこのユーグレナ社のことを知ったのは2007年だということは、ほぼ毎日書いている自分のブログを遡って分かったが、発足間もなくで、よちよち歩きの時代だったのだと思う。藻類でバイオ燃料を作るということに魅力を感じ、その後の動きを注目していた。


ユーグレナ(ミドリムシ)

 いまネットゼロに向けた社会動向の中で、バイオマス燃料にも関心が高いが、木質バイオマスの需要が高まれば、森林の伐採が増える可能性もあり、ブラジル、米国、欧州で利用が高まっている自動車や航空機用バイオマス燃料では、原材料であるトーモロコシやサトウキビへの需要が増え、栽培を増やすための農地拡大で森林が浸食されると同時に、食料としての供給量が逼迫するという批判も高まっている。

 これに対し、ユーグレナのような藻類は、太陽光が豊富な所に広い水面を確保し、そこで培養すれば、水に溶け込んだ炭酸ガスと窒素から蛋白質などの油滴を増やしながら増殖してくれる。この大規模プールに火力発電の排ガスを吹き込んでやれば、ある程度のカーボンキャプチャーが可能となるかも知れない。少なくとも農林業を圧迫することはなさそうだ。多少塩分があっても増殖するようなので、漁業に代わるものになるかも知れない。バイオ燃料製造には、サトウキビを原料にするよりも生産性が高いとされている。

 バイオ燃料の製造事業の本格化には時間がかかるため、同社はユーグレナを素材にしたクッキーや栄養剤の製造販売を始め成功している。クッキーは各地の難民キャンプへ寄付されてもいるとのこと。そのためユーグレナ社は、東証一部上場の食料品の部門に入っている。だが、石垣島にユーグレナを養殖できる池を確保し、それが実働して量の確保ができるようになったようで、このバイオ燃料をディーゼル自動車の燃料に使う実証試験をしたりしていたが、2018年10月に、日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工させ、2020年2月初めには、この実証プラントで導入している技術が、バイオジェット燃料製造技術の国際規格「ASTM」の新規格を取得したと発表していた。

 そして、今年の6月4日、ユーグレナ社は、国土交通省航空局が保有し運用する飛行検査機「サイテーションCJ4」を使って、同社製造のバイオジェット燃料を世界で初めて使用したフライト・飛行検査業務を実施するに至ったのだ。使用済み食用油とユーグレナ由来の油脂を混合して製造されたバイオジェット燃料を給油した飛行検査機は、2時間30分程度飛行して飛行検査業務実施後、中部国際空港に着陸したと報じられている。
 バス、配送車、フェリー、タグボートなどで既にこのバイオ燃料の導入が拡大している。これが一般の航空機に利用されれば、ネットゼロ社会実現に大きな貢献をすることになるだろう。既にJAL、ANAも採用を検討している。今後の展開が楽しみだ。


ユーグレナ由来のバイオ燃料で政府の試験機が飛行
出典:ユーグレナニュースリリース

参考文献