JapanTimesへの寄稿
ー日本のエネルギー・環境政策を海外に発信する必要性ー
竹内 純子
国際環境経済研究所理事・主席研究員
エネルギー政策は各国それぞれの事情を反映して、十人十色ならぬ十国十色です。もちろん、気候変動問題のようなグローバルな課題には、世界各国が連携して取り組むことが国連気候変動枠組み条約の下でも定められていますが、その方法や時間軸に対する考え方は各国それぞれの意見があります。個別事情に甘えてわが道を行くという国ばかりになってもいけませんが、多様性を無視して議論すれば、各国が連携してグローバルな課題に取り組むという素地そのものが瓦解しかねません。パリ協定がピア・レビューを前提とした自主的枠組みとなったのも、エネルギー・環境政策については各国の複雑な状況を踏まえてのことと言えるでしょう。
しかしながら、他国の事情は意外と知らないものです。そして、自分たちの事情が相手には理解されていないことには、さらに気づきにくいものです。自分の常識は相手の非常識であり、相手は自分の常識に基づいてこちらの状況を推測し、話してくるということも多々あります。正しく理解しあうための第一歩として、まずは正しく自分の状況・事情を説明する必要があるのではないでしょうか。
日本のエネルギー・環境政策に関して英語で書かれた読みやすい記事が圧倒的に少ないことに、以前から問題意識を持っていました。そうした中で、今回Japan Times様に寄稿のご依頼をいただき、論説を1回、解説コラムを5回掲載していただきました。Japan Times様のご厚意により、国際環境経済研究所のウェブサイトに転載することをご了承いただきました。
論説(Op-Ed)は、G20開催前大阪サミット開催前のタイミングを捉えて、気候変動対策のありかた全般について書いたものです。そして解説コラムは第1回は日本のエネルギー・環境政策の現状、第2回は再生可能エネルギーの大量導入に向けての取り組み、第3回は日本の原子力発電事業について、第4回は火力発電を中心に低炭素化に向けた取り組み、そして最終回の第5回では2050年に向けた日本のエネルギー転換に向けた記事をそれぞれ書かせていただきました。
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- 論説:The realist case for combating climate change
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- 解説コラム第1回:Japan’s energy policies at a critical juncture
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- 解説コラム第2回:Building toward large-scale use of renewable energy in Japan
この原稿は日本の皆様に向けて書いたものではもちろんありませんが、ぜひご一読いただくとともに、日本のエネルギー・環境政策にご関心のある海外の方へもご紹介いただければ幸いです。