ウィーン便り~原子力外交最前線からの報告~
第3話「原子力安全のための国際的なルール作り」
加納 雄大
在ウィーン国際機関日本政府代表部 公使
福島第一原発事故を受けた原子力安全強化
2011年3月の福島第一原子力発電所の事故が、スリーマイル、チェルノブイリに匹敵する衝撃を国際社会に与え、これまでの原子力安全の取り組みに再検討を迫ったことは論をまたない。
事故直後に現地入りした天野之弥IAEA事務局長は、同年6月にウィーンで開催されたIAEA原子力安全に関する閣僚会議での議論を受けて、「原子力安全に関するIAEA行動計画(“IAEA Action Plan on Nuclear Safety”)」をとりまとめた(同年9月のIAEA理事会で採択され、総会において全会一致で承認)。
また、事故の教訓を汲みとるため、IAEA福島報告書の作成を表明し、本年6月のIAEA理事会では、同報告書の根幹をなす事務局長サマリーレポートが提示された。(IAEA福島報告書については、本年9月IAEA総会での公表に向けて作業が継続されており、機会を改めて紹介することとしたい。)