東京大学環境エネルギー科学特別部門 駒場キャンパスDiary
新たな環境技術で、太陽光パネル廃棄物問題の解決なるか
松本 真由美
国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授
先日、環境ビジネスに関する研究会で、信州大学繊維学部の金子正彦特任教授の講演を伺う機会がありました。金子先生は、「太陽電池パネルの分解と有価物の回収技術」に取り組んでいます。日本では十年~十数年後に、太陽光パネルの大量廃棄問題に直面することが懸念されていることから、大変関心を持ってお話を伺いました。(図1)
近い将来廃棄される太陽光パネルは膨大な量になると思われますが、図2のように国内に太陽光発電設備のリサイクル技術は一部存在していますが、十分ではない状況です。古い太陽電池パネルをリユースしていく取り組みも大切ですが、その一方、解体するパネルが相当量出てくることが予想されます。しかし、太陽光モジュールは現在の技術では分解処理が困難と言われています。太陽光発電設備のリサイクル技術を低コストに行うことは、今後の大きな課題です。現在、国はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証研究プロジェクト等で処理技術の開発に支援を行っている状況です。
そうした中、新たな処理技術が、太陽光パネル大量廃棄物問題の解決への糸口になるかもしれません。金子先生のご講演から技術の概要を紹介したいと思います。
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