太陽光発電の推進は、ドイツを見習え!
澤 昭裕
国際環境経済研究所前所長
メガソーラーばかりが話題となるが、実はこうした狭い場所での開発、それも50kw未満の出力であれば、建築基準法の工作物でもなければ、電気工作物としての厳しい規制はかからない。それをいいことに、物理的な実体上は大規模な太陽光発電施設の建設事業であるにもかかわらず、「分譲」だと銘打って50kw未満に区分けして投資家に売り込んでいる例は数限りなくある。
その結果、下の写真のように小さい電柱(50kwごとに分けるためのもの)と大きな電柱が重畳的に立ち並ぶことになり、住民や観光客は大自然の中で異様な光景を目にすることになるのだ。純粋経済的な意味でも投資効率が悪く、無駄な投資が発生していることになる。
投資家に分譲して金融的利益を稼ごうとするだけの事業者は、そもそも発電事業をちゃんとやろうと考えているとは思えない。将来、パネルの不具合や施設の自然被害や老朽化で発電量が落ちたり、壊れて発電しなくなったりするといった事態が頻発し、配当を約束された人たちから「話が違う!」と騒ぎになる可能性は高いのではないだろうか。
そもそも、エネルギー政策として太陽光発電を推進するからには、それが長期安定的な発電(それこそが「電源」)につながるように、事業者にメンテナンスや発電管理体制の確保など、電力事業者にとっては当然の規律が求められるのだ。
もちろん、それは解体時の処理責任も含まれるものである。途中段階での退出(倒産や事業売却)のせいで解体の費用が不足しないよう、事前に事業者から供託金的なものを拠出させておく仕組みが必要だ。こうした小規模事業者は、ましてや最適なリサイクルの方法など考えてもいないだろうから、場合によっては放置や不法投棄に終わる危険性も高い。
さらに問題は、施工の手抜きや危険な施設建設による災害が起こった際の責任だ。下の写真をご覧いただきたい。そもそもこうした小規模の開発現場には、事業者の名称や所在地が掲示されてもいない。
例えば盛り土が崩れる、台風や水害でパネルが壊れる(有害金属が流れ出す)、支柱そのものが破損して公道に倒れこんでしまう、雑草よけのシートのせいで大雨の際に、雨水が土に浸透せずにそのまま大量に流れてしまうなど、何か重大な災害が起こった時に、誰が責任を取ってくれるのか。
今のゆるゆるの規制下では、その「誰に」言っていけばいいのかということさえ不明確なのだ。市町村が第一義的に責任を取ってくれるかといえば、例えば北杜市などは国の指導がない、法的規制がないなどと言って、そうした問題への対応に消極的だと住民から不満の声が出ている。
少なくとも、事業者の名称と連絡先は掲示させるべきだし、国もその情報があるならば市町村に流して、国と市町村で連携をとって災害に対応する体制を取ってもらわなければ、周辺住民としては心配が尽きないだろう。