太陽光発電の推進は、ドイツを見習え!


国際環境経済研究所前所長

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The Huffington Postからの転載:2015年06月20日付)

 わが国の再生可能エネルギー推進派の人たちは、つねづね「ドイツを見習え」と言う。まったくそのとおりだ。日本も太陽光発電の本場、ドイツを見習って太陽光発電施設の整備を進めていかなければならない。

 「ドイツは太陽光発電を推進してきた国として有名だ。しかし、太陽光発電事業が周辺自然環境に与える影響に対する規制は厳しいのだ。例えば、施設建設に当たって森林等の伐採を行えば、その6倍の植林を行わないといけない。
 
 今回のプロジェクトでは、乾いた荒れ地を30ha造成して活用したので、その3倍の90haの同じように荒れた土地を別の場所で確保し、それを25年間にわたって管理することが義務付けられた。もともとこの地に生息していた動物(こうもり、トカゲ、タカ)の保護も規制で求められており、人工的な巣を作っているが、これらに非常にお金がかかっている。
 
 将来の解体については、事業主が国に供託金を支払っており、もし当該事業者が倒産した場合は国が変わりに廃止作業を行う仕組みとなっている。モジュールなどのリサイクルについては、事業主が決めることになっている。」

 これは、今年2月、欧州最大の太陽光発電基地の一つであるノイハルデンベルグ空港ソーラーパークに私が行ったときに、その事業責任者から聞いた言葉だ。
 さすがドイツである。私はドイツのエネルギー政策の矛盾を指摘することはよくあるが、こうした自然環境との兼ね合いを考えながら開発を進めていく姿勢には学ぶところが多い。特に、森はドイツ人にとっては聖なる意味を持つから、なおさらなのだろう。

 振り返って、日本ではどうか。次の写真を見てほしい。山梨県北杜市の例だ。ドイツのような規制がない日本では、こうした開発による森林の喪失は永遠のものである。単に景観だけの問題だけではなく、傾斜地の森林が無くなれば、その真下や横に建っている住居は、土砂崩れなどの危険にさらされることになる。

 また、生態系への影響の可能性という意味では、特にこの北杜市場合、同市が誇る国蝶のオオムラサキの生息にもどのような問題が起こるか、アセスメントのようなものはいっさい実施されていない。こうしたゆるゆるの規制の中で、太陽光発電事業者は開発し放題なのだ。


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