再生可能エネルギー発電

…語られない“電気の質”と“原因者負担”


国際環境経済研究所主席研究員、(一財)日本原子力文化財団 理事長

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語られるべき「原因者責任」、「原因者負担」原則

 電力会社がこうした対策コストを負担するというのは、とりもなおさず、現在から将来に及んで、一般消費者に広く薄く負担してもらうということだ。一般消費者に広く薄く電気料金によって負担してもらうというのは、文字通りマジョリテイへのサイレント期待で、問題をはぐらかすのに近い。なぜか。ここでは、本来、「原因者責任」、「原因者負担」の基本原則が語られなくてはならないからだ。
 勿論、再生可能エネルギー開発が重要であることに異論はない。しかし一方で、電力会社や関係する人達は、現在と将来の電力消費者を代弁して、この「原因者責任」・「原因者負担」原則をキチンと言わなくてはいけない。

急増しているのは、”非住宅”太陽光発電事業

 特に、このところ“固定価格買い取り制度(FIT)”下の高価格買い取りによって保証される確実な利益を享受しようとする“非住宅”:メガ・ソーラー業者が急増していることを思えばなおさらである。
 そうそう、学術会議の報告では、「FIT 制度の導入以降、再生可能エネルギーの拡大が進んでいる。特に太陽光発電は、FIT 制度導入前の 2012 年6月末の設備容量が 560 万 kW であったのに対し 2013年度末には 1,431 万 kW と1年9ヶ月で 2.5 倍に急増した。さらに、2013 年度末での風力等を含めた全体の認定済み設備容量(未稼働分)は約 6,000 万 kW に達している。これは、短期間で早急に導入しようとすれば、政策次第で実現可能であることを示すものである。」と現況を紹介している。筆者がこの表現を補えば、急増分のほとんどが確実な儲けを期待する“非住宅”太陽光発電事業という商売なのだ。
 電力会社の後輩に、太陽光や風力発電の電気の受け入れに関して必要となる系統側の対策費用の話はどうなのかと聞いてみた。「再生可能エネルギー発電の電気は、優先引き取り(強制引き取りといってよかろう)と法律に決められているので・・・」という答えが返って来た。ちょっと待ってほしい。法律に優先引き取りと書かれているのだろうが、引き取る際の系統側対応機能増強コストを負担してもらわなくてよいとは書かれていないのではなかろうか。問題を学術会議が指摘しているのだ。
 世界中で“There is no free meal”は、常識だ。同様に、原因者負担原則も常識ではなかろうか。