環境モデル都市とマイクログリッド


YSエネルギー・リサーチ 代表

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 生駒市は環境モデル都市構想の中で、市域からの温室効果ガス排出削減目標として、2030年度に2006年度比で35%、2050年度の70%削減するという意欲的な数字を示し、その実現に向けた方策の中には、太陽光発電の普及率を6.5%から5年間で16.5%となる15,800kWに、住宅や民間施設の燃料電池・コージェネレーションについては導入支援によって3,290kWを同期間に6,780kWに、公共施設へのコージェネ導入としては、10kWを1,000kWにするといった数字も設定されている。
 これによって分かるのは、環境負荷を下げる電源として、単に再生可能エネルギーの導入促進だけではなく、総合効率の高いコージェネなどの電源の導入にも力点が置かれているということだ。これは今後新電力を設立する場合に、出力制御ができるベース電源を地域で確保することによって、エネルギーの地産地消を実現しやすくするという意味でも重要な方策となる。
 ちなみに、間もなく新設される生駒市立病院にも400kWのコージェネ導入が決まっているし、市営の水道事業においては、浄水場の落差を利用して40kWの発電を始め、自治体が運営する水道事業の小水力発電設備としては全国で第1号の固定価格買取制度適用を受けることになった、あるいは、市有地を事業者に譲渡するにあたって、太陽光発電、燃料電池、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)の設置を条件にするなど、環境モデル都市実現に向けた積極性を示す具体例が幾つか見られる。
 生駒市域にどのような形でマイクログリッドが実現するかが見えるようになるまでには少し時間がかかるだろう。筆者が抱く将来像としては、生駒市域全体に分散して設置される各種の電源がICTで統括制御されて一体化し、地域にある発電所として機能できるようになるということだ。十分な発電・蓄電能力を市域に保有することによって、地元への電力供給を災害時にも最低限は確保できるようにすると同時に、このマイクログリッドが接続されている送配電系統の安定化にも資することができるようにするというものである。紆余曲折はあるだろうが、決め手となるのは生駒市民がどれほど新電力を支援し受け入れてくれるかだろう。先進的な結果が生まれることを期待している。

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