環境と経済が両立に向かう『土壌汚染対策』とは(その3)

日本の土壌汚染対策法の特徴


株式会社FINEV(ファインブ)代表取締役

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 改正法における主な変更点は以下の通りとなっています。

土壌汚染調査の契機を拡大し、従前の有害物質使用特定施設の使用の廃止時等に加え、3000㎡以上の土地形質変更時に届出が義務付けられ、都道府県での判断のもと、調査が命じられるようになりました。
法律に基づく調査の結果、指定基準(土壌溶出量基準、土壌含有量基準)を超える土壌汚染が判明した際に指定される「指定区域」が二分され、「要措置区域」と「形質変更時要届出区域」に分類されました。

「要措置区域」は健康被害のおそれがあるため、汚染の除去等が必要な区域であり、都道府県知事から封じ込めを基本とした措置の実施が指示されます。ただし、指示の内容に関わらず、対策手法の大部分は、土壌の掘削除去となっています。
「形質変更時要届出区域」は、健康被害のおそれがないため、汚染の除去等が不要な区域ですが、土地の形質変更時に14日前までの届出が義務づけている他、地下水に影響を与えないよう施工する等の制限が課されています。実質的に建設工事等に伴う費用が増加しています。

自然由来の土壌汚染については、改正前には法の対象外であるとされていましたが、法改正により法対象であることとされました。

 2010年4月1日より改正土壌汚染対策法が施行され、4年が経過し、様々な課題もでてきています。日本の土壌汚染対策法は、比較的少ない対象物質に対して一律の厳格基準を適用している一方、自主対策が多く、法律の関与が比較的少ない中で運用されています。自主対策による裁量が当事者にある一方で、市場では、不確実性の高いリスクに対しては保守的な対策が取られる傾向にあります。これが様々な予期しなかった状況を生み出すことにもなっています。

土壌汚染対策法及び関連基準等の制定経緯

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