どこで、どのように? PM2.5はこんな風に生まれる。
PM2.5実態研究委員会
Research Committee on PM2.5 and Its Current Status
今回、第4回ではPMの発生・除去といった過程と一次粒子、二次粒子についてお話ししたいと思います。
大気中に放出された粒子は気流によって移流、拡散され、その過程で成長、反応し変質します。これらの一部は近年中国から日本への移流の影響が話題となっているように長距離を移流するものも存在します。そして粒子は霧や雨に取り込まれ、あるいはそのまま沈降して大気から除去されます(図1)。
この大気中の粒子は生成過程によって一次粒子と二次粒子に分類されます。図2に示したように、発生源から直接排出される粒子は一次粒子と呼ばれ、一方、発生源からガス状物質として排出されて、大気中で粒子になったものは二次粒子と呼ばれます。これら粒子の発生源としては土壌、海塩粒子等の自然発生源と主に化石燃料の燃焼から排出される人為発生源があります。化石燃料の燃焼ではガス状で放出される一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOX)といった成分の他に、PMが一次粒子として排出されます。過去にディーゼル車から排出するとされた一次粒子としてのPMは現在、電子制御と後処理装置の進化により大幅な低減がなされています。
このように低減が進められてきた一次粒子に対し、最近ではPM低減に対する二次粒子の重要性がわかってきました。NOXなどのガス状物質の一部成分は大気中で二次粒子となる過程に係わっていると考えられています。二次粒子の元となるガス状物質はさまざまな発生源から発生しますが、実はその割合は良くわかっていません。
大気中の二次粒子の原因物質として、有機粒子となるVOC(揮発性有機化合物 その大半はHC)、ナイトレートとなるNOX、サルフェートとなるSO2などが知られています。二次粒子は大気中の化学反応で生成するため発生源の特定が難しく、また二次粒子に対する発生源別の寄与は一意的には求められません。
国内で年間に把握されている人為起源のVOC排出量は、2005年度で約167万トンです。また植物から放出される自然起源のVOCが約150万トンに上ると推計されています。人為起源のVOCのうち、固定発生源が約8割、残り約2割が自動車などの移動発生源からの排出量になります(図3)。SOX(SO2+SO3)およびNOXについて、それぞれ図4と図5に示します。SOXに関しては人為発生源の他に、自然発生源として火山活動によるものがあります。過去に自動車から排出されるSOXの割合が多いとされていたこともありましたが、現在ではその排出量は自動車燃料中の硫黄分の低減の結果、全体の0.1%とほとんど寄与していません。
出展:(財)石油エネルギー技術センター、JEI-DB(JATOP Emission Inventory) JPEC-2011 AQ-02-6および7(2012) A.Kannari, et al., EAGrid2000Japan, Atmos. Env. 41 (2007) 3428-3439