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隣の芝生は本当に青い? ①

-意外に知られていない韓国の電力事情-


国際環境経済研究所理事・主席研究員


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2.
電源構成:韓国の主力電源は発電単価の安い石炭火力発電及び原子力発電であり、かつ、原子力発電の設備利用率が90%台と高いこと。ちなみに、我が国のそれは60%台(震災以前)。

 韓国の電源の43%は、温室効果ガスの排出が多い石炭である。しかし、韓国は地球温暖化防止に向けた国際的な枠組みである京都議定書上は「途上国」とされており、何らの温室効果ガス削減義務を負っていない。それに対して、日本は1990年比でマイナス6%の温室効果ガス削減義務を負うため、この国際公約の遵守を考えると、いくら韓国と比較して効率が良いと言われる日本の火力発電の技術をもってしても同じような電源構成はとり得ないだろう。
 また、日本の原子力発電所は13ヶ月に一度の法定点検が義務づけられており、トラブルや不祥事による停止がなくとも稼働率向上には限界がある。なお、韓国は米国などと同様、法定点検という概念は無く、設備備品等の交換などのタイミングから事業者自らが判断して点検を行うこととなっており、連続運転期間は18ヶ月が一般的である。

3.
負荷率:負荷率の高い産業用需要が全需要の半分を占めていること(我が国は1/3程度)や、デマンドサイドマネジメントの促進等により、負荷率が70%台後半と高く、効率的な電源運用が可能となっていること。我が国は60%台。
 ※
負荷率:ある期間中の負荷の平均需要電力と最大需要電力の割合。負荷率が高いほど、設備が有効利用されているということになる。
 ※
デマンドサイドマネジメント:需要家の行動変化や省エネ機器の導入等を促すことでエネルギー利用の効率化を図る一連の取組を指す。

 負荷率の違いは、韓国が日本よりもさらに「モノづくり立国」となったことを示している。しかし資源エネルギー庁がこの資料で分析する通り、デマンドサイドマネジメントの導入により負荷率の改善に成功しているとすれば、我が国が学び改善する余地はある。(しかしながら、韓国語で言う「需要管理」は、「需給逼迫が予想される場合、事前に実施を予告して一定水準以上の電力使用を減らしてもらう代わりに支援金を支給する制度」、すなわち、日本における随時調整契約に近いものだと思われる。韓国においてデマンドサイドマネジメントが日本よりも進んでいるとは筆者には思えない)

4.
その他:2011年7月まで燃料費調整制度が導入されていなかったため、燃料価格の高騰を価格に反映しづらい仕組みとなっていた。(2011年7月より燃料費調整制度を導入)

 燃料費調整制度は、燃料価格を柔軟に電力料金に反映させることで、電力会社に“適切な”原価回収をさせるものである。ここ数年の燃料価格上昇を料金に適切に反映させることができなかったこともあって、韓国電力は赤字続きとなり、1に指摘した通り政府から公的資金による補填を受ける事態につながったものと思われる。
 こうして見ると、電力料金という極めて政策的配慮によって決定される事柄を諸外国と比較することの難しさがわかる。政府からの公的資金が補填されていれば、それは国民が負担する「目に見えない電気料金」であるからだ。
隣の芝生は青く見えるが、それにはからくりがある。
次回、韓国からの電力の「輸入」および東アジアの送電線連系が本当に現実的な解であるのかを検証する。

参考資料)
経済産業省資源エネルギー庁
韓国energy&environment news

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