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電力供給を支える現場力①

—関西電力海南発電所の苦闘—


国際環境経済研究所前所長


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 設備の検査は、数万箇所にも及び、復旧工事に携わった人間は延べ12万人、最大時には1日880人の人間が昼夜交代で働いたそうだ。普段は180人程度の発電所が、である。 また、通常石油火力はピーク時にしか動かさなかったのが、原発停止の影響でミドルピーク的に運用されることになった(グラフ参照)ため、協力会社を含めた運営体制に大きな変更を加える必要もあったことは、案外知られていない。

 いずれにせよ、こうした「安定供給が第一の使命」とDNAに刻み込まれた電力マンの力を結集した結果、2号機は6月30日には試運転を開始し、7月16日には通常運転に入ったのである。
 2号機以外の号機でも、高経年化した設備を扱うために、一定の使用期間を過ぎたものは自動的に交換する寿命管理と、点検によって異常が発見された場合に修理を行う管理形態をうまく組み合わせながら、高稼働状態を保っている。いっときも故障は許されない状況で、休日も夜間もなく働いていれば、安全環境も完全な状態に保つことは極めて難しい。「トラブルの件数や異常が検知される件数も、やはり運転状況が過酷になればなるほど増加している」と前出の辻所長は言う。

 大飯原発の再稼働ばかりが世の中の耳目を引くが、それだけでは供給が不足するとして、長期停止していた設備の再稼働が決まった石油火力発電所での苦闘は、もっと世の中に知られてもよいのではないだろうか。海南発電所での電力の安定供給を守るために、時間や労力を惜しまないという状況は、ここにとどまる訳ではなく、震災からの復旧に取り組んだ東北電力や東京電力はもちろん、他の電力会社でも同じだ。
 エネルギー政策上の問題や論争と、電力供給の現場は本来直結して考えなければならないはずだ。政策担当者や関心あるメデイアの方は、ぜひ一度こうした現場を訪れてもらいたい。

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