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ポスト京都に向け、次の手を探る欧州


元大阪大学特任準教授


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COP16の結果に関しEUはより悲観的

 2010年のCOP16以前、京都議定書延長論についての欧州産業界の見方はとてもクールだった。欧州産業界にとって、EU-ETS(欧州排出権取引制度)はなくならないものであり、CDM・JI(クリーン開発メカニズム・共同実施)は、遵守コストを安価にする大切なツールの一つとされた。EUの2020年排出削減目標が、1990年比20%から30%に深掘りされない限りにおいて、CDM・JIを維持するためだけに京都議定書の延長に賛同することは、論争にすらならない当たり前のことであった。

 むしろ欧州産業界は、EU-ETSの2013年以降の無償割り当てに直結する、ベンチマークの設定方法や、CO2以外の温室効果ガスであるハイドロフルオロカーボン(HFC)と一酸化二窒素(N2O)由来のCDMクレジット使用制限等に注目していた。

 COP16の結果については、一般的には、国連による多国間交渉や、京都議定書が引き続き有効であることが示されたと、前向きに評価する声が多い。実際、COP15よりは確実に前進している。一方で欧州では、2013年以降の国際的な法的枠組みが依然不透明なままであり、グローバルCapの可能性が遠のいたことなどに対し、より悲観的な見方が多いように見受けられる。EU-ETSを運用中のEUは、域内政策の正当性や公平性確保のためなどに、しっかりした法的枠組みを嗜好しており、カンクン合意のような、いわゆる「Pledge & Review(誓約と評価)」方式への移行に、相当なためらいがあるようだ。

 こうした状況の下、EUの2050年までの排出削減パスを示す、低炭素ロードマップが採択された。これは、2050年までにEUの排出を90年比80~95%削減するための道筋、EUの意思を示したもので、トップダウン的なモデル計算で作成されたものだ。

図1 EUが公表した低炭素ロードマップ
EUが公表した低炭素ロードマップ

EUはトップダウン的なモデル計算を基に、2050年までの排出削減パスを示す低炭素ロードマップを作成した(出典:European Commission “A roadmap for moving a low carbon economy in 2050” 2011年3月)