執筆者:杉山 大志
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2015/12/21
インド・チェンナイの大洪水
主原因は無秩序な都市開発、温暖化との関係は未検証
インド・チェンナイで大洪水が起きている。COP21において、ファビウス議長は、これは地球温暖化の影響であるとして、排出削減の緊急性を訴えた。また、インド環境大臣は、これは過去の先進国の排出による被害だとしている。 続きを読む -
2015/12/14
台湾の野心的なCO2削減目標・・・日本と共に荊の道を歩む
あまり知られていないが、COP21に合わせて、台湾もCO2削減に関する野心的な数値目標を発表した。だがそれは達成困難であるとして、エネルギー専門家は頭を抱える。台湾はエネルギーの9割を輸入に頼り注1)、また環境運動が盛んな点も日本によく似ている。 続きを読む -
2015/11/05
EUETSは市場安定化リザーブで立て直せるか?
ETS立て直しの切り札として、EUは市場安定化リザーブを導入しようとしている。これは本当に切り札となるのか?それとも、立て直しは「政治的に困難」であるという、IPCCの否定的な予言が当たるのだろうか? 続きを読む -
2015/09/14
まず技術開発を先行させよ:米国クリーンパワープランに学ぶべき本当の教訓とは
米国のクリーンパワープランは「新規な規制によってCO2を削減する」という図式でしばしば報道されているが、実は、「技術開発を先行させて、温暖化対策コストを下げることが重要」という教訓こそを読み取るべきである。 続きを読む
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2015/06/17
温室効果ガス「先進国は2050年に△80%」から「世界全体の協力が不可欠」と文言が変わったG7
この機に日本の長期目標△80%の見直しをエルマウのG7合意では、IPCC第5次報告に基づいて「世界全体で△40%から△70%」という温室効果ガス削減量が提示されて、これは広く報道された。 続きを読む
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2015/06/08
電力価格高騰が遠ざける低炭素社会
温暖化問題の解決のためには、長期的にはCO2を大幅に削減することが望ましい。このためには「電気の低炭素化」のみならず、エネルギー消費の「電化」も必要である。しかしながら欧州では、性急な再エネ導入政策等によって電力価格が高騰し、電化を妨げる要因となってしまった。 続きを読む
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2015/05/28
CO2削減目標△26%をどう「位置づける」べきか
政府は2030年に2005年比で26%の温室効果ガス削減という数値目標を提示した。だがこれは、コストをあまり考慮せずに積み上げた数字であって、最大限努力した場合の「削減ポテンシャル」と見るべきである。 続きを読む
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2015/04/21
大幅な省エネ見通しの国民負担を精査せよ
既存のモデル試算は電力価格倍増を示唆している<大幅な省エネ見通し>
省エネルギー小委員会(以下、小委)は、4月17日の第3回会合において、新たな省エネ量の試算を示した。以下本稿では特に電力に着目して議論する。 続きを読む
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2015/03/05
過大な省エネ見通しはこう見直すべし
-政府長期エネルギー需給見通し小委員会で提示された省エネ見通しの改善提案-要約
2月27日に開催された政府長期エネルギー需給見通し小委員会において、事務局から省エネ見通しの暫定的な試算が示された。そこでは、電力、特に家庭・業務部門について、大幅な需要減少が見込まれている。 続きを読む -
2015/03/03
2030年の電力化率はどうあるべきか
要約
2030年の電源構成(エネルギーミックス)について現時点で予断はできない。だが、どのようなミックスになるにせよ、ヒートポンプ・EVを初めとした電気利用技術は温暖化対策の一つとして有力である。 続きを読む
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2015/02/24
家庭・業務部門では更に強固な「鉄のリンク」
-経済が成長するならば電力需要も伸びる-要約
経済が成長するならば、電力需要もそれを上回って伸びるという「鉄のリンク」について、一般的には前回、詳しく議論した。 続きを読む
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2015/02/20
省エネの「ダブルカウント」に要注意
―京都議定書目標達成計画の失敗を繰り返すな―政府・省エネ小委は、2月17日、2030年度の「省エネ対策の効果の試算」を示した。このうち、特に家庭部門・業務部門の電力消費については2012年の消費量実績の28~29%という大きな値を見込んでいる。 続きを読む
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2014/12/08
自主的取り組みの経済理論
2030年に向けての日本の温暖化対策はどうあるべきか。日本では、エネルギー価格は既に高く、また省エネ法は一巡しており、今後の政策強化は「政府の失敗」をもたらす恐れがある。従って、更なる温暖化対策としては、自主的取組みが重要だ。
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2014/11/28
CO2削減の「イノベーション・シナリオ」
技術革新への洞察を深めることで、現実的な、イノベーションによるCO2削減シナリオが見えてくる: 革新的技術は、イノベーション・エコシステム(技術の生態系)から生まれる。これを育むには経済成長が不可欠で、日本のエネルギーは安くなければならない。 続きを読む
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2014/11/10
IPCC統合報告書の問題点(速報)
要約
IPCC第5次評価統合報告書(11月1日発表)は、4月迄に発表された第1~3部会の報告書を短く再編集したものである。
従って、新規の知見は無い。有用な情報は多いが、その一方で、既存報告書にあった問題点を引き継いで、尖鋭化させてしまっている。 -
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2014/11/04
CO2の排出量は計画できない
「数値目標」ではなく「参考数値」とすべし日本のCO2数値目標をどうすべきか。今回は、過去の数値目標を振り返ろう。結論:政府に数値目標を達成する能力は無い。数値目標は強制するのではなく、飽くまで「参考数値」に留めるべきだ。