緑の殺戮機械
再生可能エネルギーが野生動物と自然に与える影響
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太陽光、風力発電などの再生可能エネルギーは、二酸化炭素削減には寄与しますが、環境、防災に与える負の側面もあります。例えば、日本でも傾斜地の太陽光発電設備の設置への反対が報道されています。英国のGlobal Warming Policy Foundation(地球温暖化対策基金)の副理事が、再生可能エネルギーが野生動物と自然環境に与える影響を報告しています。
監訳 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志 訳 木村史子
本稿は、Andrew Montford, GREEN KILLINGMACHINES The impact of renewable energy on wildlife and nature, The Global Warming Policy Foundation GWPF Report 36
Green-Killing-Machines-1.pdf (thegwpf.org)を、The Global Warming Policy Foundationの許可を得て翻訳したものである。
【概要】
再生可能エネルギーは、環境にやさしいというイメージを持たれている。本報告書では、このイメージが全く妥当でないことを明らかにする。風力、太陽光、バイオマス、そして水力発電は、私たちを取り巻く世界を改善するどころか、大きな損害をもたらす可能性があるのだ。地球温暖化防止活動家が想定している規模の再生可能エネルギー革命は、私たちの景観を荒らし、畑を工業化したり、あるいは単一栽培に変え、野生生物を殺戮することになる。
再生可能エネルギーは、世界をより良い場所にするどころか、私たちが大切にしているものすべてを破壊してしまうだろう。これが本当に環境主義の意味するところなのか?
1.はじめに
地球温暖化が叫ばれ、数多くの政策が打ち出されているが、なかでも、エネルギー生産を化石燃料からカーボンフリーなエネルギー源、特に再生可能エネルギーにシフトすることが求められている。しかし、その進展は遅々として進まない。その理由は様々で、立地(ニンビイズム)の問題、計画の困難さ、電力網への統合の問題、そして多くの再生可能エネルギー源の価格が非常に高いことなどが挙げられる。そのため、世界のエネルギーに占める再生可能エネルギーの割合は非常に低く、例えば、風力発電は、エネルギー出力の 1%にも達していない1。
しかし、世界のエネルギー需要は2060年までの間に10〜34%伸びると予想されている2。都市化や技術の進歩により、電力需要の伸びはさらに速く、同じ間に2倍になると予想されている。このため、各国政府は、再生可能エネルギーの利用を大幅に拡大する方針を打ち出している。
再生可能エネルギーは「地球に優しい」イメージがあるが、実際に環境に深刻な影響を与えていることを知る人はあまりいない。本報告書では、特に英国において、現在および今後数十年の再生可能エネルギ―事業の拡大が終わった時点での、環境への影響について検証したいと思う。そして、環境保護を自らの存在意義とするはずの環境運動家がどのようにこの環境影響に対応しているか考察しようと思う。
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