技術立国日本の温暖化対策(その2)
~石炭利用起点の「エネルギー転換技術」の開発動向~
藤木 勇光 /相曽 健司/中村 郷平
一般社団法人地球温暖化防止全国ネット理事/元大崎クールジェン株式会社代表取締役社長/電源開発株式会社火力エネルギー部
はじめに
前回報告では、まず世界のエネルギー動向を紹介すると共に、日本の地政学的ポジションと欧州との相違について整理した。次いで、脱炭素化対応に伴ってエネルギーの電力シフトが進展するとの想定の下で、同時同量が求められる電力供給においては、再エネの主力電源化を進めるためにも一定量の火力電源が調整力として必要であることについて述べた。そして、脱炭素化を進めるプロセスにおける火力発電には、CO2の排出を極力抑制するために技術立国日本らしい「エネルギー転換技術」が必要であり、その開発・実証動向として、カーボンフリー燃料であるバイオマスやアンモニアの混焼技術、石炭ガス化とCCUSを組み合わせたシステムに係る実証プロジェクト動向について概説した。
今回報告では、これら技術およびシステムを実装し、火力発電をカーボンニュートラル社会にフィットした形態に移行させる道筋について、J-POWER電源開発が掲げるロードマップを題材として、そのプロセスデザインと主要な課題について俯瞰してみたい。
なお、本稿もまた相曽・藤木の二人が1979年J-POWER電源開発に入社した同期生であり、オイルショック後の電源多様化と「エネルギーと環境の共生」をテーマに、火力発電の環境性能の高度化に取り組んできた関係を基礎に、現役の中村氏の協力を得てまとめたもので、本稿が表記所属組織のスタンスや活動と直接かかわるものではないことをあらかじめお断りしておく。
1.2050年カーボンニュートラル社会に向けたロードマップ
昨年10月に閣議決定された我が国のGHG削減目標(NDC)や第6次エネルギー基本計画、続く11月のCOP26での議論を契機として、石炭火力発電からのCO2排出量を出来るだけ早期にかつ大幅に削減することが強く求められている。2050年までの残り二十数年の間に”実質排出ゼロ”まで持っていくために超えるべきハードルは限りなく高いものではあるが、日本の地政学的特性やエネルギー供給構造を踏まえると、一定割合の火力発電は電力の安定供給上欠くことのできないピースであり、それ故にその脱炭素化の取組みを加速させねばならないことは自明である。
J-POWERは昨年2月に”J-POWER BLUE MISSION 2050”と題したカーボンニュートラルと水素社会実現に向けた取組みの考え方を公表した。この中には、CO2フリー電源である再生可能エネルギー(水力、風力、地熱)と大間原子力発電の開発推進、電力ネットワークの増強と共に、石炭ガス化技術をキーテクノロジーとして、最終的にCO2フリー水素発電に至るまでのロードマップを示している(下図参照)。
以下、火力発電技術に焦点を当てて、本ロードマップとその基本となる考え方について紹介し、併せてその社会実装に際しての課題について記述する。
2.微粉炭火力発電(PCF)のカーボンフリー燃料転換
最新のエネルギー基本計画によれば2030年時点で発電全体に占める石炭火力の割合は19%であり、これは現存のUSCユニット(超々臨界圧の高効率火力)で十分カバーできる量である。言い替えれば、USCと比して効率面で劣るいわゆる”非効率石炭火力”は休廃止することが計画の前提となっている。非効率石炭火力について事業者がとりうる手段は2つ。①国の政策の方向性に沿って休廃止とするか、②カーボンフリー燃料の混焼によりCO2排出原単位を向上(原単位の値は低減)させ、石炭火力の発電効率基準をクリアするかである。ここで留意すべきは、現行の効率基準をクリアしても石炭火力ユニットの絶対数が減らなければ国全体の排出量は下がらないという点である。仮にカーボンフリー燃料混焼により効率基準をクリアするユニットが続出すれば、国は効率基準の更なる引き上げにより稼働ユニットのふるい落としを図ることが予想される。カーボンフリー燃料のPCFボイラ(微粉炭燃焼ボイラ)混焼は、当面のCO2排出原単位改善手段としては有効であるが、石炭燃焼に伴うCO2を排出し続けるという意味において最終的な解ではなく、トランジショナルな形態であるといえる。
では、PCFシステムが2050年を越えるためにはどのような進化の道筋が考えられるであろうか。まず、バイオマス燃料の混焼においては混焼率を上げていき最終的に専焼に切り替えるという方向性が考えられる。バイオマス燃料の導入比率を高めるためには、プロセスの上流から下流に至るまで様々な設備面・運用面での対応、課題解決が必要となる。また、アンモニア混焼については、これまでのパイロット試験結果からアンモニア混焼率50%以上の目標が示されていて、将来のアンモニア専焼を視野に入れて開発が進められているが、専焼化には今しばらく時間を要するものとみられる。
- 【バイオマス燃料導入時の主な対応と課題】
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- 燃料サプライチェーン構築
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- 揚運炭・貯蔵設備のバイオマス向け改造(粉塵飛散対策等)
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- ミル改造もしくはバイオマス専用ミル導入
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- 燃料供給系統整備・バーナ改造
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- 炉内灰付着対策
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- 排水処理(バイオマス固有成分に対応した処理性能付与)
また、燃料アンモニア混焼時の課題については以下が挙げられる。
- 【燃料アンモニア導入時の主な対応と課題】
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- 燃料サプライチェーン構築
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- 燃料受け払い・貯蔵設備整備
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- 燃料供給系統整備・バーナ改造(混焼バーナもしくは専焼バーナ)
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- 脱硝設備触媒積み増し
上述の通り、主なカーボンフリー燃料であるバイオマスやアンモニアを導入するためにクリアすべき課題は少なくない。国内では500~1000MW規模の大型ボイラで低混焼率の実証が緒に就いた段階であり、高混焼率もしくは専焼への引き上げには技術開発を含めて相応の時間を要する見込みである。
また、技術面での課題に加えて、燃料調達や経済性の面でも導入課題が存在する。両燃料共に現段階での市場流通量は限られており、全国の石炭ボイラでこれらの燃料を大量に利用するためには、少なくとも年間数千万トン規模のサプライチェーンを構築する必要がある。また、コスト面では、石炭と比べてカロリー当たり単価が数倍となる割高な燃料を大量導入することに伴う費用回収上の問題(発電原価の問題)がある。今後、当該燃料が本格普及しコモディティ化することでコスト面のハードルは緩和方向に進むことが期待されるものの、これに加えて低炭素なエネルギーの環境価値を経済価値につなげる仕組み、例えば長期電源市場におけるトランジション電源に位置付ける等の制度的な支援が必要になると思われる。
3.石炭ガス化技術によるシステムの転換/拡張
カーボンニュートラル社会における主要なエネルギーキャリアは、「CO2フリー電気」と「CO2フリー水素」に収斂する。前者は再エネ、原子力、化石燃料+CCSから生み出される電気であり、後者はCO2フリー電気による水電気分解もしくは化石燃料+CCSから合成される水素である(その他、原子力エネルギーを利用した水素製造の研究開発等も進められている)。
資源小国日本において、将来にわたってエネルギー安定供給を確保するためには、供給ソースの多様化を維持することが必要であり、この観点からは再生可能エネルギーの導入促進、原子力の活用と併せて、化石燃料を将来に亘り活用することは必須と考えられる。化石燃料はCO2排出を伴い、殊にCO2排出原単位が天然ガスに比べて2倍と高い石炭には批判が強い。
しかしながら、石炭ガス化技術とCCSを組み合わせることでCO2原単位を大きく低減できる技術的・経済的可能性が見出されつつある。石炭は大量の賦存量があり世界的に広範に賦存すること、石油・天然ガスに比べて安価であること等の安定供給上の特性を考慮すると、現在の技術レベルを基準に「石炭はCO2排出が多いから廃棄すべき資源」と即断することには賛同できない。
固体燃料である石炭からCO2フリーの電気や水素を効率的に生み出すにあたり必要となる技術が、石炭ガス化である。J-POWERは1990年代から長きに亘り酸素吹き石炭ガス化技術の開発・実証に取り組んできている。福岡県の若松研究所におけるEAGLEパイロット試験に続き、広島県の大崎クールジェン社における大型実証試験(中国電力(株)J-POWERの折半出資、NEDO助成事業)を実施している。
大崎クールジェンの第1段階IGCC実証試験では、長時間運転を実施し発電端効率で51.9%(LHV、商用機の57%相当)とこのクラスでは世界最高レベルの効率と、負荷変化率16%/分(従来のPCFでは最大3%/分)とこれまで類を見ない成果を出してきている。この成果は、脱炭素化へのトランジッション段階で、天候に依存し出力変化する風力や太陽光による電力供給が増える際に生じる電力系統の安定運用、需給調整に大きく貢献し得るものである。
また、第2段階実証試験では、CO2分離回収装置に高圧条件で処理効率に優れた物理吸収方式を適用し、CO2分離回収型IGCCのシステム検証を行っている。ガスタービン燃焼前に生成ガス中のCOに蒸気を付加するシフト反応でCO2と水素を生成することにより、高濃度高圧下でより低コストで高効率なCO2分離回収が可能となり、回収効率90%以上を確認している。
3-1 GENESIS松島計画
これらの成果を適用する初の商用プラント建設計画が“GENESIS松島計画”であり、既設石炭火力プラントの上流に石炭ガス化設備とガスタービン設備を追設し、複合発電化することにより全体の発電効率を高める取組みである。既存設備を活用し高付加価値なものに再構築(「アップサイクル」と称する)することにより、経済合理性をもって早期に環境負荷を低減することが可能となる。J-POWERは、本計画を長崎県の松島火力発電所にて進めている。
新たなシステムは、2026年度末の運転開始を目指して現在環境アセスメント手続きと設備設計を進めている段階である。導入当初計画は、上記フロー図を基本的設備構成としているが、運転開始後にはバイオマスやアンモニア等のカーボンフリー燃料の導入による更なる低炭素化を進める計画である。
3-2 GENESISの拡張性
現在の計画は上記のように現有技術を基礎に構成されているが、今後の技術開発成果(CO2分離回収装置、水素タービン等)を段階的に追加導入することにより、下図に示すような拡張性が期待される。この拡張性こそが、石炭火力を低炭素化からカーボンニュートラル(CO2ゼロエミッション)へと進化させ、更にはネガティブエミッション(バイオマス混焼率を向上し、CCSとの組み合わせで大気中のCO2を削減する)へとつなげて、国としてのGHG排出実質ゼロに貢献することが期待される。
4.J-POWER GENESIS VISION
J-POWERは、前項で述べたGENESIS松島計画を嚆矢として、”J-POWER GENESIS VISION”を取り纏め、昨年4月に中期経営計画として公表した。
このVISIONでは、ガス化技術とCCS技術をコア技術として、CO2フリー電力供給とCO2フリー水素を製造・供給する事業へと事業を拡大し、グルーバルな課題である気候変動・温暖化問題に技術的アプローチからひとつの解を提供し、海外展開も視野に入れて広くカーボンニュートラルへの貢献と水素エネルギー社会を実現する絵姿を描いている。
J-POWERは本ビジョン実現に向けて下記に示す主要技術の実証に取り組んでおり、今後、”加速性”をもって実証ならびに社会実装に取り組み、2050年の脱炭素社会に向けてエネルギーシステムのトランジションを着実に進めていくこととしている。
- 【関連する主なプロジェクト】
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- ガス化・CO2分離回収:大崎クールジェンプロジェクト
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- 褐炭ガス化・水素製造:日豪HESC(Hydrogen Energy Supply Chain)プロジェクト
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- CO2地中貯留:苫小牧CCS実証試験、インドネシアGundhi CCS実証プロジェクト
5.技術立国日本の温暖化対策について(まとめ)
5-1 日本らしい総合的な戦略を
経済成長を通じて豊かで快適な暮らしを実現してきた日本社会は、地球温暖化・気候変動問題に直面し、カーボンニュートラル社会に向けて大きな社会変容を求められている。
エネルギー消費を削減すると共に、脱炭素化に向けてCO2排出負荷の小さいエネルギーへの転換が必要であり、そのためには産業構造、都市構造、交通システムをはじめとするハードの社会システムの変革・見直しが必要である。またこれらと併せて、これまで形成してきた働き方、商習慣、生活様式などのソフトの変革等を含む幅広くかつ真摯な変革を進めることが必要であると指摘されており、「経済と環境の良循環」をキーワードにしつつ、社会を変容させていくことが求められている。
豊かで快適な安定した暮らしを簡単に手放すことができないことは自明であり、日本社会が大きくクラッシュすることがないように、日本らしさを生かして独自の戦略を構築し、総合的に社会変革を進めることが必要であり、以下の点を十分考慮して戦略を練ることが重要ではないかと思われる。
- ①
- 日本はエネルギー資源に恵まれない資源小国であり、かつ欧州等とは異なる地政学的ポジションにあること(日本の隣国である大陸諸国は、政治社会体制が異なる中国、ロシア、北朝鮮等であること)
- ②
- 2050年GHG排出実質ゼロを達成するためには、エネルギーの消費と供給の両面からその変革(省エネルギーと供給エネルギーの脱炭素化)を図り、社会システムのハードとソフトを変革していく必要があること
- ③
- 同時に、省エネルギーにもエネルギー供給の脱炭素化にも一定の限界があり、GHG排出ゼロは極めて困難な課題である(高い熱需要がある素材産業で工業プロセス上のCO2排出や化石燃料消費が残る。農・畜産業では家畜動物・土壌からメタン、亜酸化窒素の排出等がある。家庭部門において化石燃料消費がゼロにならない、等)。これらを踏まえて、実質ゼロを目指すためには、カーボンリサイクルを推進すると共に、相応のネガティブエミッション措置(植林・森林整備等による自然吸収機能の強化、DACCS、BECCS等)を導入することが不可欠であること
- ④
- エネルギー供給の脱炭素化、カーボンリサイクル、ネガティブエミッション措置に共通して技術的アプローチが不可欠であり、できるところから段階的に新技術を社会実装する必要がある。幸い日本にはこれまで蓄積してきた厚い技術集積があり、これらを活用して低炭素化・脱炭素化を進めることが可能であると見通されること
5-2 日本らしい技術的アプローチ
本稿でも紹介してきたように日本は、次代の主力エネルギーと期待されている水素製造・輸送・利用技術、CO2排出負荷が小さい再生可能エネルギー、原子力に関する技術を保持すると共に、火力発電技術においてもその高度化・環境性能の高さは今なお世界のトップランナーであり、更にその低炭素化・脱炭素化に向けて精力的に技術開発が進められている。これらの先進技術をさらに磨き、技術的アプローチからエネルギーの安定供給(社会的安定性)と脱炭素化の両立を目指すことは、まさに技術立国日本らしいチャレンジではないかと考えられる。
社会が必要とするエネルギー量は、その社会が実装する社会システムと技術レベルに大きく左右される。そして、社会システムと技術は相互に影響し合うもので、言わば「鶏と卵」のような関係でもある。カーボンニュートラル社会を目指してエネルギー消費の少ない社会システムへの転換を進めるには、省エネルギーと脱炭素化に有効な技術を柔軟に社会実装していく視点が欠かせず、逆に、その目的に沿う有用な技術が開発されたら、その技術を柔軟に取り入れて社会システムを進化させていく視点が重要である。この点に関して、現在懸念していることを次項に記す。
5-3 円滑に技術実装するには社会的な認知が必要
現在の温暖化対応を巡る国内の論調は、社会変容の必要性を強調すると共に、脱炭素化のために化石燃料からの脱却、とりわけ石炭利用に対する批判が強い。社会システム転換の方向性について様々に提言もなされているが、残念ながら技術の具体的な進展について報道・紹介されることは多くない。
技術を分かりやすく伝えることは難しいと敬遠されているのかもしれないが、とりわけ石炭関連技術については、「石炭だからダメ」と杓子定規に頭から敬遠されているようで残念である。また、カーボンニュートラルに必要であるとして世界的に技術開発や事業開拓が急伸しているCCS/CCUS技術についても、その動向に関する報道は少なく、これらの技術開発や事業動向に対する社会的認知は低いままである。
新しい技術に多くを期待して、それが適わなかったときのリスクを回避したいとの堅実な考えも理解できるが、それが強すぎても将来有用な選択肢を自ら放棄するに等しい結果を招いてしまいかねない。技術に対する社会的な認知を適正に引き上げていくことが欠かせないと強く感じている。
2050年実質ゼロを達成するために必要と考えられるエネルギー転換技術、CCS技術の開発が進んでも、これらの技術が社会に認知されていなければ、誰も安心して社会実装しようとはしないであろう。先述したように、社会システムとそれを支える技術には「鶏と卵」のような関係があり、社会システムの変革を進めるためにも技術に関する社会的認知を引き上げることが必要である。そして、新技術を柔軟かつスピーディーに社会実装するためには、規制、規格、基準、支援制度などの整備を進めて、技術を受け入れやすくなるように社会的受容性を高めていくことが欠かせない。これらの取組みが相まって、技術に対する社会的認知と信頼性が高まり、安心して新技術を社会実装できるような条件整備が進められることを期待している。
5-4 終わりに
日本が位置するアジア圏では、今後も経済発展が見込まれる途上国が多数存在し、既に、ASEAN諸国と中国、インドを合わせると、世界のCO2排出量の半分を占める勢いである。これらの国々は石炭火力に電力の多くを依存しており、現在も石炭火力建設が進む。こうした中で、これらの国々のCO2排出を抑制するために、日本のエネルギー転換技術を積極的に適用しようとするニーズが高まることが予測される。
国も「アジアCCUSネットワーク」を立ち上げ、更に、COP26では岸田総理がアジアのクリーンエネルギーへの移行を支援し、化石燃料発電をアンモニア、水素などのゼロエミ火力への転換に向けて先導的事業を展開する旨表明している。また同じCOP26では、パリ協定6条の市場メカニズムに関する関連協議が合意に至り、事業を通じてグローバルにCO2の排出削減を進める条件整備も進んでいる。
技術立国日本のエネルギー転換技術が、日本における社会実装だけでなく、アジアの経済発展と低炭素化/脱炭素化の両立に貢献していく。そんな未来の絵姿を想像しながら、本稿の締めくくりとしたい。