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8月3日、クリーンパワープラン最終版の正式発表


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授


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 今回の最高裁判決は、「compliance cost consideration(コストを考慮したコンプライアンス)」という「Clean Air Act(大気浄化法)」の基本原則が、最近の規制の動きの中で時として軽視されてきた風潮を改めるといった観点から、「クリーンパワープラン」の最終版、特に各州に対してCO2原単位を定めることになる連邦実行計画の策定に際して、EPAに“警告”を発するという意味合いは大いにあったと思われる。

 しかし、EPAに対してあくまでも規制の方向性を変えることなく、一方でコストを考慮したコンプライアンスへの姿勢を窺わせるものとなっている。今回の判決は、象徴的な意味合いはあるものの、EPAが究極的にどのような指示を受け、「MATS:Mercury and Air Toxics Standard(水銀・大気有害物質基準) 」ルールがどのような影響受けることになるのかは現段階では未だ見えておらず、コンプライアンスの期限を来年に控え、既に動いている石炭廃炉の動きへの実態的な影響はないと思われる。「コストを考慮したコンプライアンス」の視点は、日本国内の将来目標に関わる議論の中でも、重視していかなければならない要素の一つになるだろう。

 米電力業界では現在、よりクリーンで高効率の天然ガス・石炭発電所の建設を推進する動きが進んでいるが、クリーンパワープランにより石炭火力への依存を減らし、天然ガスへのシフトを促すとともに、再生可能エネルギーへの転換を後押ししていくと思われる。

 クリーンパワープランの正式発表は、今年末にパリで開催される気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)での国際合意に向けて、米国が交渉を主導していくという強い意思の表れでもあるだろう。一方、クリーンパワープランの正式発表後、米国内では、共和党や石炭産出州は反撃する構えを示しており、来年11月の大統領選の主要争点のひとつになるのは間違いない。

出典:ホワイトハウスのHPより。「クリーンパワープラン」を正式発表するオバマ大統領

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