原子力規制委は「自己規律なき独立」からの脱却を


国際環境経済研究所前所長

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規制活動基本原則の再構築

 まず、現在の日本の規制委員会が設立時の組織モデルとした米国原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission, NRC)の例を見てみよう(次表)。NRCでは、自立性、公開性、効率性、明白性、首尾一貫性を規制活動に係る基本的姿勢として定め、技術的な判断を行う際の判断基準として用いることができる程度にまで具体化したレベルで、その概念を定義している。この規制原則の存在によって、米国では、透明性と一貫性を備えた原子力安全行政が進展してきたと考えられている。

20141017

 一方、日本の規制委員会はどうか。ホームページの組織理念の項の中に次の行動原則が掲げられている注1)

活動原則
原子力規制委員会は、事務局である原子力規制庁とともに、その使命を果たすため、以下の原則に沿って、職務を遂行する。

(1)
独立した意思決定
何ものにもとらわれず、科学的・技術的な見地から、独立して意思決定を行う。
(2)
実効ある行動
形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求する。
(3)
透明で開かれた組織
意思決定のプロセスを含め、規制にかかわる情報の開示を徹底する。また、国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める。
(4)
向上心と責任感
常に最新の知見に学び、自らを磨くことに努め、倫理観、使命感、誇りを持って職務を遂行する。
(5)
緊急時即応
いかなる事態にも、組織的かつ即座に対応する。また、そのための体制を平時から整える。
注1)
原子力規制委員会「原子力規制委員会の組織理念『活動原則』」
http://www.nsr.go.jp/nra/idea.html