原発再稼働すれば、電気料金は下がる?

—否、原発再稼働しなければ、電気料金はもっと上がる—


国際環境経済研究所前所長

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 例えば、北海道電力であれば泊原子力発電所1、2号基が2013年12月に再稼働、3号機も2014年6月には再稼働する予定を組み入れて料金値上げを査定されたため、再稼働が全く実現しないなら、費用増分は本来35%の値上げがなければ吸収できなかったところ、査定で認められたのは9%だったことから、急速に財務状況が悪化している。九州電力(川内原発1、2号基は2013年7月、玄海原発3、4号基は2013年12月再稼働を予定)や関西電力(大飯原発は稼働継続、高浜3、4号基は2013年7月再稼働を予定)にも、同様のことが当てはまる。その結果、北海道、関西、九州の各電力は、中部や四国とともに3期連続の経常赤字状態であり、自己資本比率の低下とそれに伴う資金調達に問題が生じつつある。このままでは原発の安全対策や電力の安定供給に必要な発電設備への投資に支障が生じるだけではなく、再生可能エネルギーの導入に必要な送電線の強化も難しくなる。
 
 原発再稼働によって電気料金が下がるのではない。原発再稼働は、これ以上電気料金が上昇することを回避するための最低必要条件なのだ。むしろ、原発再稼働を遅らせれば遅らせるほど、電気料金の更なる値上げは避けられない状態に陥るのである。「原発再稼働させなくても、電気料金は上がらない」と確たる根拠もなく喧伝している錬金術師たちには騙されてはならない。