「夢の原子炉」はどこへ?
エネルギー基本計画における「もんじゅ」の位置づけに思う
堀越 秀彦
国際環境経済研究所主席研究員
平成26年4月11日、新しいエネルギー基本計画が閣議決定された。おそらくこのサイトでも話題となっていくことだろうが、ピンポイントなところで、高速増殖炉もんじゅの位置づけが気になったので少々とりあげてみたい。
もんじゅというのは福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉で、運転しながら、消費した以上の燃料を生み出すことができるという特徴がある。日本原子力研究開発機構の説明によれば、次のようなメリットがあるとされている。
我が国は核燃料サイクルを原子力政策の基本としており、原子力発電所における使用済燃料は、再処理して新たに発生したプルトニウムや燃え残ったウランを回収し、燃料として再利用することとしています。
軽水炉のみの核燃料サイクルでは、天然ウランは近い将来使い切ってしまうと考えられますが(1つの目安としてウランの可採年数は85年と国際的に評価されています)、高速増殖炉により、ウラン資源をより効率的に使うことにより、数世紀以上にわたって利用可能となります。
軽水炉でウラン燃料を一度燃やすだけでは天然ウランの利用効率は0.5%程度ですが、高速増殖炉を導入し、何度もリサイクルした場合、天然ウランの利用効率は理論的には60%程度になると算出されています。
国内にエネルギー資源が乏しく、島国であって隣国との間で資源や電力の輸出入に困難がある我が国において、エネルギーの安定供給を将来にわたって確保していくことは、国の存立基盤をなす重要な課題である。そこで高速増殖炉はエネルギーの安定供給に資するとの期待のもとで、長い時間と巨額の費用をかけて研究開発が続けられてきた。
しかしながら、平成7年のナトリウム漏れ事故に端を発した度重なるトラブルや、東日本大震災等を経て、平成24年9月14日に民主党政権のもとで策定された「革新的エネルギー・環境戦略」(エネルギー・環境会議決定)において、もんじゅは「国際的な協力の下で、高速増殖炉の成果の取りまとめ、廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した研究を行うこととし、このための年限を区切った研究計画を策定、実行し、成果を確認の上、研究を終了する」とされた。