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IPCC 第5 次評価報告書批判
-「科学的根拠を疑う」(その2)

地球温暖化のCO2原因説に科学的根拠を見出すことはできない


東京工業大学名誉教授


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 世界のCO2排出量が増加し始めたのは、エネルギー源として化石燃料が使われるようになった産業革命以降で、図2-5に計量データのない1970年以前もCO2排出量は確実に年次増加していたはずである。したがって、IPCCが主張するように、世界の地上気温上昇幅がCO2の累積排出量にほぼ比例するのであれば、図2-4に示した平均地上気温は継続的に上昇しなければならなかったはずである。しかし、実際の観測値は、図2-4に見られるように、上昇と下降 (あるいは停滞)を繰り返すジグザグ状に変動している。これは、平均地上気温の上昇がCO2排出量以外の因子、例えば、自然の気候変動と言われる現象に影響されるためと考えられる。
 ところで、改めて、この図2-4を眺めて見ると、1900 年代に入ってから、気温のやや急な上昇と下降(停滞)が、それぞれ約 30 年ごと、合わせてほぼ60 年を周期として2 度にわたり繰り返されてきたとみてよさそうである。いま、問題になっている1998年から15年続いている気温上昇の停滞も、この最近の60年周期の変動の一つとみると、現在の気温の停滞がこれから15年ほど続くことになる。したがって、今後もこのような、ジグザグの変動が継続するとして、その上にCO2に起因する気温上昇の寄与があると仮定して、将来の気温上昇幅を予測計算する方法は、今までの観測データに基づいた一定の合理性と信頼性のある方法と考えてもよいのではなかろうか。
 世界のCO2排出量のデータが公表されるようになったのは1971 年以降と考えられるので、図2-4 に見られる気象変動の周期の最新の1951 ~ 2010 年の60年間の累積CO2排出量の値を図2-5 に示すCO2排出量の年次変化のデータから、1971 ~ 2010 年までを公表値を用いて、また、1951 ~ 1970年の値を図中の曲線の延長から推定し、両者を合計して1.05 兆トンと推算した。一方、この同じ 1951 ~ 2010年間の気温上昇幅の値を図2-4 から0.5 ℃と読み取ることができるので、この観測データに基づいた1951 ~ 2010 年の60年間の
 (気温上昇幅)/(累積 CO2排出量)= ( 0.5 ℃) / (1.05 兆トン ) = 0.48 ℃/(兆CO2トン)
と計算される。この比率の値が、図2-3 に、「観測データから推定した比例関係」として書き加えた直線の勾配である。この値を今世紀末までの累積CO2排出量の予測値に乗ずることで今世紀末の気温上昇幅の予測値を手計算で求めることができる。
 この現在までの観測データから推定される(気温上昇幅)/(累積CO2排出量)比の値は、第5次報告書での地上気温上昇幅と累積CO2排出量の関係の予測計算結果を示す図2-3 に「予測比例関係」として示した直線の勾配0.63 ℃/(兆CO2トン)に較べて、0.76 ( = 0.48 / 0.63 )倍 ≒ 3/4程度と小さい。したがって、この程度の差だったら、結果的には、第5次報告書の予測計算がほぼ妥当なことが検証されたことになるのではないかと思われる方が居られるかもしれないが、それは違う。先に述べたように、第5次報告書の予測計算値が、ここで示した今までの「観測データから推定した」値に「たまたま」近かったのであり、それは、科学的根拠を持った「ほぼ一致」ではない。さらに言えば、ここに示した「観測データから推定した比例関係」も、第5次報告書で盛んに主張している信頼性で評価できるものではない。それは、気温変動に規則的な周期があると仮定したなかの最近の1周期間(1951 ~ 2010 年の60年間)での検証しかなされていないからである。より大きな問題として、この地上気温の周期変動の原因が科学的に解明されていないのに、その同じ変動が規則的に60年周期で将来も起こるとの保証は何処にもない。したがって、この「観測データからの推定」も、いま、問題になっているこれから地球の寒冷化が始まるとする最近の学説を否定するだけの信頼性はないと考えるべきである。
 さらに、追加として指摘しておきたい重要なことは、今世紀末の累積CO2排出量の最大値が、第5次報告書に与えられた表2-1 に示すような6.18兆トンではなく、本稿「その1」に記したように、地球資源量により制約されるとしたCO2排出総量の推定値4兆トン程度に止まるとすると、図2-3の「観測データから推定した比例関係」を示す直線から読み取った今世紀末の平均地上気温上昇幅は、温暖化の脅威を避ける目標とされている2 ℃以内に止まると見てよいことである。

 以上、本稿「その2 」では、IPCCの主張している地球温暖化のCO2原因説に科学的な根拠を見出すことができないことを明らかにした。以下、次回は、第5次報告書の主張の問題点について次のような指摘を行う。
 (その3)第5次報告書の信頼性を疑わせる海面水位上昇幅予測計算値の間違い

<引用文献>
2-1. 文部科学省、経済産業省、気象庁、環境省:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書、第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について、報道発表資料、平成25 年9 月27 日
気象庁暫定訳:IPCC第5次評価報告書 気候変動2013、自然科学的根拠、政策決定者向け要約(2013年10月17日版))
2-2. 日本エネルギー経済研究所編:「EDMC/エネルギー・経済統計要覧2013年版」、省エネルギーセンター、2013 年

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