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IPCC 第5 次評価報告書批判
-「科学的根拠を疑う」(その2)

地球温暖化のCO2原因説に科学的根拠を見出すことはできない


東京工業大学名誉教授


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 もともと、地球大気中には、人為的な原因によらないCO2が300 ppm 近く含まれていた(280 ppm とされている)から、これに人為的な排出の増加が加わった大気中CO2濃度は、累積CO2排出量とは比例関係が存在しない。これは、表2-1の累積 CO2排出量と大気中CO2濃度の予測計算結果の関係をプロットした図2-1 からも明らかである。ただ次いで、大気中CO2濃度と平均地上気温上昇幅の関係についても、上記同様、予測計算の基準年における大気中のCO2濃度の存在から、表2-1の両者の関係をプロットした図2-2 に見られるように、両者の間に比例関係が存在しないことは明らかである。

注:累積CO2排出量の基準とされている1998 ~ 2005年の大気中CO2濃度は395ppmとした。
図2-1 IPCC 第5次報告書の予測計算値における累積CO2排出量と地球大気中のCO2濃度との関係
(表2-1のデータを基に作成)

注:平均地上気温上昇幅の基準とされている1998 ~ 2005年の大気中CO2濃度は395 ppmとした。
図 2-2 IPCC第5次報告書の予測計算値における大気中のCO2濃度と平均地上気温上昇幅の関係
(表2-1のデータを基に作成)

 以上、いずれも、第5次報告書で用いられている気候シミュレーションモデルを用いた予測計算結果に対してであるが、理論的には、累積CO2排出量と平均地上気温上昇幅との間に比例関係が存在するとの科学的根拠は存在しないことを示している。すなわち、もし、「ほぼ比例関係」が存在するとしたら、それは、あくまでも結果論である。いずれにしろ、上記のような説明を加えること無しに、平均地上気温上昇幅と累積CO2排出量との「ほぼ比例関係」を、この第5次報告書のなかで、(新見解)として持ち出したのは非科学的な対応と言わざるを得ない。
 この「ほぼ比例関係」の成立を検証するために、表2-1の予測計算データから、CO2排出量年次変化の異なる4 種のRCPシナリオ別に、2100年までの累積CO2排出量と今世紀末の平均地上気温の上昇幅との関係を図2-3に示した。ただし、この図 2-3において、各RCPシナリオ別に、表2-1 における累積CO2排出量の最大値と最小値が、それぞれ、平均地上気温上昇幅の最大値と最小値に1対1 で対応するとした。

①、②、③、④ は、それぞれシナリオ① RCP 2.6、シナリオ② PCP 4.5、シナリオ③ RCP 6.0、シナリオ④ RCP 8.5、「観測データから推定した比例関係」を示す直線は、1941 ~ 2000年の気温上昇幅の観測データ(図2-4)と、同期間の累積CO2排出量の推定値(図2-5から推定)から求めた(本文下記参照)。
図 2-3 IPCCの評価予測によるCO2排出RCPシナリオ別の2012 ~ 2100年の累積CO2排出量と
今世紀末(2081 ~ 2100 年)の平均地上気温上昇幅との関係

(表2-1のデータを基に作成)

 この図2-3 に見られるように、累積CO2排出量と平均地上気温上昇幅の関係がRCPシナリオ別に異なった直線で与えられていて、両者のほぼ比例関係を表す一本の直線(図中に「予測比例関係」とした)から、かなり大きく離れている。したがって、平均地上気温上昇幅と累積CO2排出量の間に「ほぼ比例関係」が存在する(新見解)として、この図2-3に示すような予測計算結果を与える気候シミュレーションモデルを用いて、平均地上気温上昇幅の予測計算値には相当大きな誤差が生じる恐れがあると言わざるを得ない。