IPCC 第5 次評価報告書批判
-「科学的根拠を疑う」(その2)
地球温暖化のCO2原因説に科学的根拠を見出すことはできない
久保田 宏
東京工業大学名誉教授
地上気温上昇幅の予測値の信頼性には科学的な根拠が与えられていない
第5次報告書においてIPCC は、表2-1 に示した地球温暖化に関連した予測計算結果の信頼性を盛んに主張している。しかし、このシミュレーションモデル計算結果の信頼性が証明されるには、このモデルによる予測計算結果が、実際の観測データと一致することが確かめられねばならない。この検証を行うためには、世界の平均地上気温上昇幅の観測値とともに世界のCO2排出量の年次変化の計量データが必要になる。
第5次資料(文献1 )から、1961 ~ 1990年を基準にした1851年以降の世界の平均地上気温上昇幅の観測値を図2-4 に示した。ただし、この図2-4には、変動している各年の値を10年ごとに目視により平均した概略の気温上昇幅の値を示してある。この図2-4から、世界の平均地上気温は1851 ~ 2010年までの160 年間に約0.7 ℃上昇したと読み取ることができ、確かに温暖化は進行している。
一方、世界のCO2 排出量が計量されるようになったのは地球温暖化が問題になり始めた(と思われる)1970 年頃からである。エネルギー経済研究所(以下エネ研データ、文献2-2 )に与えられている IEA(国際エネルギー機関)による世界のCO2排出量の年次変化を図2-5に示した。