2013年12月のアーカイブ
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2013/12/26
私的京都議定書始末記(その28)
-コペンハーゲン前夜-AWG-LCAをめぐる状況
私はAWG-KPの首席交渉官であったため、どうしてもAWG-KPに関する記述が多くなってしまったが、国連気候変動交渉における日本の主たる関心事はAWG-LCAにあった。バリのCOP13で設立が決まったAWG-LCAは全ての主要排出国が参加する公平で実効ある枠組みを交渉する場として大きな期待を集めていた。そして2009年12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15ではAWG-LCAの作業が終了し、2013年以降の新たな枠組みが出来上がるはずであった。 続きを読む
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2013/12/25
低炭素社会実行計画(一般社団法人 日本ガス協会)
1. これまでの取り組み「環境自主行動計画」
国内209事業者の総延長約25万Kmの導管で、豊かで快適な暮らしを実現し、広範な産業を支える都市ガス。都市ガスの主な原料である天然ガスは、化石燃料の中でもカロリーあたりのCO2やNOXの排出量が最も低い等の環境調和性が高く評価され、ボイラ・工業炉等の産業用の需要が急速に拡大すると共に、利便性の高い省エネルギー機器の開発により、地域冷暖房やコージェネレーション(コージェネ)など新たな用途も開拓してきました。 続きを読む
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2013/12/24
オバマ政権の環境・エネルギー政策(その14)
原子力等への対応に関する政治動静113国会の上下両院の原子力政策の論点の中のもっとも関心がもたれるのが前々回述べた使用済み燃料・廃棄物管理に関する法案への対応である。これらについて少なくとも上院ではマコースキー(共和)ランドリュー(民主)らは協力的立場にある。上院のエネルギー天然資源委員会の委員長にはワイデン議員(民主)が就任したが、ビンガマン前委員長の路線を引き続き、共和党トップのマコウスキー(共和)とともに超党派的対応が目立つ。 続きを読む
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2013/12/19
再生可能エネルギー政策に苦悩する
欧州とアジアから学ぶこと(機関誌「月刊 経団連 2013年12月号」からの転載。)
エネルギー政策で重要な点は、経済性、安全保障、環境性能であり、太陽光、風力発電などの再生可能エネルギー(再エネ)はエネルギー安全保障、温暖化対策上からは非常に望ましい発電源だ。しかし、経済性の観点からは問題が多い。 続きを読む
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2013/12/18
私的京都議定書始末記(その27)
-25%目標の表明-25%目標の衝撃
2009年9月7日、私は朝日地球環境フォーラムに出席していた。その2週間前の総選挙で政権交代が決まっており、その日、次期首相になる鳩山民主党代表が温暖化対策についてスピーチをすることになっていたからである。民主党はマニフェストの中で温室効果ガス削減目標を2020年までに90年比25%減とするとの方針を明らかにしていた。 続きを読む
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2013/12/17
改めて「重要なベース電源」の意義を示すべき
我が国の「健康状態」と原子力の「効能」「副作用」を踏まえた説明を平成25年11月に大手新聞社が実施した調査によれば、小泉純一郎元首相が主張する「原発ゼロ」に対して、概ね国民の6割が支持しているそうだ。
小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」主張を支持するか?
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2013/12/16
カリフォルニア州の分散型太陽光発電を巡る動向
本年3月時点で見ると、米国50州の内、29州とワシントンDCでRPS制度が導入されている。RPS(Renewable Portfolio Standard)は、電力供給事業者が供給する電力の内、再生可能エネルギー由来のものが占める比率の目標を設定し達成することを義務づける規制である。米国の場合、RPSは、国内の再生可能エネルギーの導入を促進する目的で1978年に制定された連邦法PURPA(公益事業規制政策法)によって生まれたものだが、制度化するかも含めてその内容は各州の裁量に任されていて、米国全体を対象にしたものではない。 続きを読む
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2013/12/13
オバマ政権の環境・エネルギー政策(その13)
核不拡散問題へのオバマ大統領の思いオバマ大統領はブッシュ前大統領の原子力積極策から転換しようとしているのだろうか。
米国の原子力発電所新設への支援策は、2005年エネルギー政策法で実施しつくした感がある。この点で政策変更の余地は今は少ない。特に民間の電力会社が行う原子力発電所建設に対する融資(「連邦融資保証」と呼ばれる)については、実際に支援が受けられるのは数基だが、30年も動かなかった原子力新設計画が動き出した意義は大きい。 続きを読む -
2013/12/11
私的京都議定書始末記(その26)
-中期目標をボンで発表-AWG-KPとAWG-LCAで発表
2009年6月10日、ボンで日本代表団の雰囲気は慌しかった。この日、半年以上に及ぶ中期木曜検討会の議論を踏まえ、麻生総理がついに中期目標を発表したのだ。発表された中期目標はオプション3(2005年14%減)に太陽光発電等の大胆な導入等により削減幅を更に1%上乗せしたものであった。日本政府代表団としては、これを交渉の場で発表せねばならない。 続きを読む
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2013/12/10
Eating(食料)かHeating(暖房)かを迫られる英国民 エネルギー市場自由化でエネルギー効率も悪化、温暖化対策にも遅れ
1990年から、電力、ガス市場の自由化を行った英国では、2000年に天然ガス生産がピークを打ち減少を始め、直後から天然ガスの輸入が必要になった。生産は年々減少を続け、いま、天然ガス需要の50%以上が輸入だ。
この天然ガス生産の減少は、エネルギー市場にも大きな影響を与えることになった。 続きを読む -
2013/12/06
東京電力法的整理論の穴
10月最終週に「朝まで生テレビ」に出た(その日は直前収録だったが)。原発政策がそのテーマだったが、自分の印象では、そのほとんどの時間が東京電力の法的整理論に関する議論に費やされたような気がする。出演者の方々のほとんどが法的整理に賛成で、私一人が消極的意見を述べ、周りから集中砲火を浴びた。
そのときは例の「朝生」論戦なので落ち着いて議論する暇はなかったが、それ以降それぞれの出演者の方々が、それぞれのメディアで自論を展開しておられる。私もここに考えを整理しておきたい。 続きを読む -
2013/12/04
私的京都議定書始末記(その25)
-中期目標の策定-中期目標検討委員会
2009年前半の国内における温暖化議論の中心は中期目標の策定であった。COP14(ポズナン)のAWG/KP結論文書の中で、「2009年のCOP15(京都議定書締約国会合としてはCMP5)において作業を終了すべく、未だ中期目標を提示していない附属書Ⅰ国に対して2009年3-4月に開催予定の第7回会合までに目標提出を慫慂する」との文章が盛り込まれたことは前に記した通りである。 続きを読む
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2013/12/02
オバマ政権の環境・エネルギー政策(その12)
上院による原子力廃棄物管理法案ユッカマウンテンに関するオバマ政権の動きに呼応して上院では新たな原子力廃棄物管理に関する法制化の動きが始まっている。2013年4月になって上院エネルギー天然資源委員会のワイデン上院議員(民主 同委員会委員長 オレゴン州選出)およびマコウスキー(共和 アラスカ州選出)、上院歳出委員会エネルギー・水資源開発小委員会のファインスタイン(民主 カリフォルニア州選出)およびアレクサンダー(共和 テネシー州選出)が共同で2013年原子力廃棄物管理法案を提出した。 続きを読む