目に見えないのにどうやって? PM2.5の「測り方」
PM2.5実態研究委員会
Research Committee on PM2.5 and Its Current Status
前回、第2回ではPM、PM2.5の環境基準やその設定根拠についてご紹介しました。今回、第3回では、様々な大気中PMの粒径およびその性状、さらにその測定法についてご紹介しようと思います。
大気中PMの粒径と性状
大気中の粒子はおおよそ0.001 μm~100 μmの範囲にあります。代表的な一次粒子の粒径範囲を図1に示します。PMの粒径分布は、個数濃度で表記する場合と、体積(質量)濃度で表記する場合で、大きく異なります。非常に小さい粒子は個数が多くても質量的にはそれほど大きな値にはなりません。一方、比較的大きな粒子は個数が少なくても全体の質量は重くなります。
図2は、都市大気の粒径分布を示し、個数濃度で表記すると、ガス状物質から粒子が生成する時にできる超微小粒子PM0.1(核生成モード粒子)が顕著となります。一方で、体積(質量)濃度では核生成モード粒子が凝集して生成する微小粒子(蓄積モード粒子)と、元々大きな粒子が生成する粗大粒子モードが支配的で、核生成モード粒子は無視できます。
PM2.5は、人為起源の燃焼生成粒子および大気中の化学反応で作られる二次粒子が多い蓄積モードから構成されています。(一次粒子/二次粒子については次回に詳しく説明します)
PM測定法
米国ではフィルター捕集による質量測定法が、PMの標準測定法として位置づけられています。図3に米国の連邦標準測定法:FRM (Federal Reference Method) サンプラーの装置を示します。あらかじめPM10インパクタで10μm以上の粒子を除去した後、バーチャルインパクタで2.5~10μmの粗大粒子(PM2.5-10)と、2.5μm 以下のPM2.5に分別し、フィルター上に粒子を採取し、質量を測定します。
日本では、「大気中微小粒子状物質測定方法暫定マニュアル(改訂版)」に基づき、フィルター捕集による測定と、自動計測機による測定が実施されています。フィルター法は図3の米国の連邦標準測定法をベースにしています。自動計測機によるものは、TEOM (Tapered Element Oscillating Microbalance)法、β線吸収法および光散乱法による測定が実施されています。
図4に示すTEOM法は、フィルター上に採取した粒子の質量を振動周波数の変位から測定する方法で、連続的に粒子濃度が計測可能です。
しかし、フィルター捕集による方法、自動計測機による方法のどちらも特に湿度の高い日本では大気中の水分の影響やガス状成分の影響を受け、質量が変化する可能性があることが指摘されています。