2013年1月のアーカイブ
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2013/01/31
エネルギー消費の効率化
3・11以降、日本の電力供給の不安定さは一向に改善されていない。現時点では原発再稼働の数や時期は見通せず、断言はできないが少なくともここ2~3年はこの不安定さが続き、突然の広域停電、あるいは、計画停電が否定できない状況にある。これに対応するために、事業所や家庭に緊急的な節電が要請され、これまで何とか危機を乗り切ってきた。 続きを読む
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2013/01/30
京都議定書の“終わりの終わり”
国連気候変動枠組み交渉の現場で見た限界点国連気候変動枠組み交渉の現場に参加するのは実に2 年ぶりであったが、残念なことに、そして驚くほど議論の内容に変化は見られなかった。COP18で、京都議定書は第2約束期間を8年として、欧州連合(EU)・豪などいくつかの国が参加を表明、2020年以降の新たな枠組みについてはその交渉テキストを15年までに固めることは決定した。しかし 続きを読む
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2013/01/29
エネルギー問題とイソップ寓話
筆者がエネルギー問題を考える時に思い出すのは、イソップ寓話「アリとキリギリス」である。やがて必ず冬がやってくるという、彼らにとって避けることのできない制約条件に、まだその気配もなかった夏の間に対応できたかどうか、それが彼等の明暗を分けた。
エネルギーについてはどうだろうか。 続きを読む -
2013/01/25
続・発送電分離の正しい論じ方
政権交代後、しばらく休止状態であった電力システム改革専門委員会が1月21日(月)、再開された。報道では、政府は2月までに、本件について何らかのとりまとめを行う意向と伝えられている。前回記事でも触れたが、これまで委員会で出た意見の中には、雑なものも散見されるので、とりまとめの前に検証することも有意義と考える。 続きを読む
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2013/01/25
COP18の概要~産業界の視点(第3回)
(第2回目は、「COP18の概要~産業界の視点(第2回)」をご覧ください)
これまで見てきたように、対立の構図が激化してなかなか進まない全体交渉に対して、ビジネスの世界では、日々の事業活動を通じて、省エネ技術の世界的普及や激甚災害への適応や対処など、現実のビジネス活動を通じて温暖化対策が進められている。 続きを読む
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2013/01/24
第9回 日本化学工業協会 技術委員会 委員長/三井化学株式会社 取締役 常務執行役員 生産・技術本部長 竹本元氏
環境問題のソリューション・プロバイダーとしての化学の使命第9回目にご登場いただくのは、日本化学工業協会 技術委員会 委員長/三井化学株式会社 取締役 常務執行役員 生産・技術本部長の竹本元氏です。化学産業が、地球温暖化対策やエネルギー問題に対してどのような戦略を立てているのか、率直なお話を伺いました。 続きを読む
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2013/01/24
ドイツの電力事情⑦ 電気料金の逆進性―低所得層への打撃―
消費税と同じく電気料金は逆進性が高いと言われ、その上昇は低所得者層により大きなダメージを与える。ドイツの電力事情④において、ドイツの一般家庭が支払う再生可能エネルギー助成金は、2013年には3.59 ユーロセント/kWh から約 5 ユーロセント/kWh に 上昇し、年間負担額は185ユーロ(1万8500円)にもなると予測されていることを紹介した。 続きを読む
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2013/01/23
COP18の概要~産業界の視点(第2回)
(第1回目は、「COP18の概要~産業界の視点(第1回)」をご覧ください)
「宗教」になっている京都議定書
国民の税金を使った膨大な資金協力の実績を示した日本が「化石賞」で批判される一方で、京都議定書第二約束期間への参加に逡巡していた豪州が、最終的に参加を決めたことは、途上国やNGOから賞賛と喝采を持って受け止められていた。 続きを読む
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2013/01/22
風車は回り続けるか?
先般、再生可能エネルギー財団(Renewable Energy Foundation)のスタディ「英国及びデンマークにおけるウィンドファームのパフォーマンス」の発表を聞きに行ってきた。
非常に興味深い内容なのでその概要をご紹介したい。 続きを読む -
2013/01/21
COP18の概要~産業界の視点(第1回)
1.COP交渉の概要
昨年もドーハで開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP)に参加してきた。筆者にとってはバリのCOP13以来6回目のCOPである。一昨年以来、経団連の環境安全委員会国際環境戦略WG座長の立場で参加しており、交渉の経緯をフォローさせていただくと同時に、各国政府交渉団や産業界、NGO関係者などと対話を通じて感じたCOP18の概要について報告させていただきたい。 続きを読む
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2013/01/18
新政権の下、電力供給システム改革議論はどうすべきか
-レッテル貼りを超えた議論を-昨年末の衆議院選挙・政権交代によりしばらく休止状態であった、電力システム改革の議論が再開されるようだ。茂木経済産業大臣は、12月26日初閣議後記者会見で、電力システム改革の方向性は維持しつつも、タイムスケジュール、発送電分離や料金規制撤廃等、個々の施策をどのレベルまでどの段階でやるか、といったことについて、新政権として検証する意向を表明している。 続きを読む
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2013/01/16
天然ガスへの傾斜を深める英国
12月5日、英国のオズボーン財務大臣が定例のAutumn Statement を行った。これはいわば日本の財政演説に相当するもので、マクロ経済見通しと経済財政運営の基本方針を示すものであるが、今年はAutumn Statement と併せ、ガス発電戦略(Gas Generation Strategy)が発表された。 続きを読む
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2013/01/15
ネガワットの市場取引を現実的に考える
「節電」が新たな供給力として市場に出て行く
東日本大震災以降、原子力発電所の停止によって電力需給ひっ迫が継続する中で、ネガワットという言葉を耳にしたことがある読者は多いのではないか。要は節電のことなのであるが、単に電気を節約するだけでなく、「節電を取引する新たなビジネス」といった意味合いでしばしば語られている。 続きを読む
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2013/01/11
電力自由化論の致命的な欠陥
原子力事業抜きの議論はありえない
総選挙一色となった感がある日本。政治の行方はまさに混沌としているが、その陰で国家のエネルギー戦略の進路を決める重大な政策が進められようとしている。
2012年9月14日、政府は「2030年代に原子力発電所稼働ゼロ」を柱とする革新的エネルギー・環境戦略を定めた。 続きを読む -
2013/01/10
第8回 JX日鉱日石エネルギー株式会社 常務執行役員 新エネルギーシステム本部副本部長 山口益弘氏
“エネルギー変換企業”として、多様なエネルギーの供給に貢献第8回目にご登場いただくのは、JX日鉱日石エネルギー株式会社 常務執行役員・新エネルギーシステム本部副本部長の山口益弘氏です。日本の基幹エネルギーである石油。JX日鉱日石エネルギーでは、石油開発や石油精製販売の他、燃料電池や太陽光発電などの新エネルギー事業の新たな展開も図っています。インタビューの前に、横浜のENEOS創エネハウスも見学させていただきました。 続きを読む
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2013/01/09
ゼロリスク志向と深層防護
前回の拙稿「本当に人々は「ゼロリスク」を求めていたのか」では、「人々がゼロリスクを求めているとして、リスクがあることを知らせることを避ける風潮」があったという旧原子力安全委員長の発言に関連して、震災前(平成20年)の意識調査結果を紹介した。 続きを読む
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2013/01/08
原子力発電所事故時の組織力とは
—「検証 東電テレビ会議」(朝日新聞出版)と公開画像—昨年10月に公開された東京電力社内のテレビ会議の模様を見た。福島第一原発免震重要棟緊急対策室本部と本店非常災害対策室とのやりとりを中心に、時々福島オフサイトセンターを含めたコミュニケーションの様子の所々を、5時間余り分ピックアップして、音声入りの動画を公開したものだ。また、その後11月末にも追加の画像公開がなされている。 続きを読む
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2013/01/07
COP18で考えたこと
12月1日~9日にかけてドーハのCOP18に参加してきた。私はジェトロロンドン事務所長とは別に、経産省地球温暖化問題特別調査員という、もう一つの肩書きを持っている。2008年から11年まで3年近くにわたって地球温暖化交渉に首席交渉官の一人として参加してきた経験・人脈を踏まえ、引き続き、交渉を手伝えということである。 続きを読む