第7回 日本自動車工業会 環境委員会運輸政策対応WG主査/トヨタ自動車株式会社 環境部担当部長 大野栄嗣氏

世界の自動車メーカーが燃費向上の競争、技術の戦国時代にある


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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次世代自動車の発展

――次世代自動車の種類や、市場に出てきた背景についてお聞かせいただけますか?

大野:次世代車には2つ狙いがありまして、一つは燃費を大きく向上させるという狙い、もうひとつはガソリンに頼らない、エネルギーセキュリティ的な意味があります。その二つのことから、各社が次世代自動車の開発に一生懸命取り組んでいるわけです。

 ハイブリッド車は、1997年にプリウスが発売されてから14年経ちました。日本市場が世界で一番多く売れており、現在販売されている乗用車のうち20%くらい、10台のうちの2台はハイブリッド車です。外国はそれほど多くありませんが、日本ではハイブリッド車はもはや次世代車という感じではなくなり、現世代に近いですね。青年期に達した技術と見ています。

 ハイブリッド車は非常に燃費が良くなりますが、ガソリンを使わなくていいということにはなりません。やはりガソリンは必要です。それが最近出てきた電気自動車になりますと、もうガソリンは使いませんので、ガソリンに頼らなくてもよくなります。電気自動車は過去に何回かブームがありましたが、定着しませんでした。今回は定着させなければなりません。そういう意味では、2011年頃がEV元年であるとも言えます。生まれたばかりの技術です。

 また2015年頃に量産型が発売される予定の燃料電池車も非常に面白いです。私自身も市場に出てくるのを楽しみにしますが、これは水素を使うので、ガソリンを使わない。このようにガソリンを使わない車がこれから出てくるでしょう。

――ガソリンを使わない車の可能性はいろいろ広がりそうですね。

大野:電気自動車はいろんな使い方ができて、非常に面白い。例えば家の中やショッピングモールなどに、小さな電気自動車なら入って来られますね。

 電気自動車は、まだバッテリーがいろんな意味で完ぺきなものができていませんが、これからどんどん良くなっていくと思いますので、楽しみにして頂きたいです。また、ハイブリッドと電気自動車の中間の、プラグインハイブリッドというコンセプトも2012年から出てきていますから、それもひとつレパートリーを増やしています。