第3回 王子製紙グループ「2012王子の森・自然学校」と苫小牧工場


国際環境経済研究所理事・主席研究員

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 苫小牧工場で紙づくりの現場も見せていただきました。案内してくださったのは、苫小牧工場事務部の田畑さん。1972年に江別工場に入社され、1987年に苫小牧工場に転勤してこられたという、生き字引です。
 田畑さんと一緒に工場の中を歩いていると、1929年(昭和4年)から丸太を効率よく工場内の製造設備に運搬しつづけている送木水路や、稼働開始から85年以上経った今も現役として活躍するドラムバーカー(丸太からパルプ化に不向きな樹皮を取り除く機械)など、いくつも経済産業省の「近代化産業遺産群」に指定された設備を見ることが出来ます。

1917(大正6)年建造の赤レンガ事務所と田畑さん。この事務所は1998(平成10)年まで現役の事務所として使われていたそうです。 水の流れだけで木を運ぶため、究極の「エコ」。木の香りが鼻をくすぐります。

 明治時代の末期においては、紙はほとんどが海外からの輸入品だったそうです。「紙は文化のバロメーター」として、国内で自給したいという高い志が、地域ぐるみでの発展を支えたのでしょう。1907年(明治40年)から始まった苫小牧工場の建設は、コンクリートに混ぜる砂利が不足して中断したものの、当時の苫小牧村の方々が海岸で砂利を拾い集め、それによって工場が完成したという秘話も伺いました。
 現在苫小牧工場は、世界有数の新聞用紙生産工場となっているそうで、1日なんと1300万世帯分もの大量の新聞用紙を製造しているそうです。
 皆さんのお手元に届く新聞も“苫小牧生まれ”かもしれませんよ。朝、新聞を手にしたら、一度目をとじて王子製紙の苫小牧社有林を想像してみてください。豊かな湧き水が流れ、たくさんの動植物と子供たちの笑顔がある森です!

苫小牧工場の煙突は苫小牧市のシンボル。市内のどこからでも見えるランドマークとして親しまれているそうです。

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