第3回 王子製紙グループ「2012王子の森・自然学校」と苫小牧工場
竹内 純子
国際環境経済研究所理事・主席研究員
ツリークライミングでほぐれた後は森の仕事のお勉強。クイズ形式で樹種選定をし、実際に間伐(かんばつ)作業も行います。木を伐ることをためらう子供たちも「100年かかる森づくりを50年でできたら、効率良くたくさんの森の恵みを受けられる。そのために人間が少し手を入れてあげるんだよ」と王子製紙の社有林管理を行う王子木材緑化の竹田さんのレクチャーを受けると俄然張り切りだしました。「木を植えることが自然保護、木を伐るのは自然破壊」ではなく、森の成り立ちや状態によって、人と森の付き合い方が変わることを知り、その奥深さに強い興味を持ったようでした。
「最も美しい森林は、また最も収穫多き森林である」とは、ドイツの林学者アルフレート・メーラーの言葉ですが、それぞれの森の特色を見極め、あるべき姿を思い描き、それに向けて適切な整備を行うには、長い知識と経験、そして自然との共生についての深い見識が必要になります。私は東京電力在職時代に尾瀬の自然保護活動を10年強担当させていただき、今も一般社団法人フォレストック協会で森林保全に携わっていますが、知識も経験も見識もまだまだ足りません。子供の頃にこうした本物の自然体験をする機会に恵まれた「王子の森・自然学校」の生徒さんが心底うらやましくなりましたし、この自然学校を提供できる王子製紙グループの「底力」にも感動しました。
それもそのはず。王子製紙グループの歴史は1873年(明治6年)、渋沢栄一らにより前身の王子製紙株式会社の設立された時までさかのぼります。苫小牧工場の創業は1910年(明治43年)。この地で100年以上、原料の源である森林と向き合ってこられたのですから、「底力」も当然かもしれません。