震災を機に評価高まる都市ガスの可能性[後編]
安定的な供給体制構築へ求められる国の役割
松本 真由美
国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授
エネルギーのベストミックスをどう構築するかが課題
――地球温暖化対策については、現在そして今後どのように取り組む計画ですか。
池島:地球温暖化対策の基本は、省エネルギーだと思います。限られたエネルギーを徹底的に有効に使う努力がどれだけできるかがポイントでしょう。エネルギー会社として、我々がそこにどれだけコミットできるかも大事です。燃料のソリューションとしては、メタンは、化石資源のなかでCO2の排出が最も少ない効率的な資源です。私どもは、そのようなエネルギーを扱っていることに誇りを持つと同時に、もっと効果的に使うことでCO2の排出削減に貢献できると思っています。
――エネルギー政策は今後どのような方向に進むべきでしょうか。また、政府への提言や要望はありますか。
池島:「原発は是か非か」のように、個別のエネルギーを議論するのではなく、国のエネルギーのあり方を総合的に考えるべきだと思います。つまり、再生可能エネルギーや、原子力発電、化石燃料も含めたベストミックスを考え、それぞれのよさを生かす総合的な仕組みを構築すべきでしょう。エネルギー源のベストミックスだけでなく、分散と系統のバランスでもベストミックスが必要です。今までは系統の安定性に依存したシステムでしたが、系統のよさを生かしながら分散をバックアップし、セキュリティーも保つなど、複眼的なものの考え方を取り入れることがエネルギー基本計画に求められているのではないでしょうか。電力会社やガス会社が、それぞれの業界が持っているリソースを自分たちの利益のためだけに使うのではなく、全体のベストミックスがどうあるべきかを考えていくことが大事です。省エネをはじめ、いかにエネルギーを上手に使うるかという需要家側の行動も問われるでしょう。