震災を機に評価高まる都市ガスの可能性[前編]
発電と熱利用で安定的なエネルギー需給に貢献へ
松本 真由美
国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授
ガス事業の発展が電力の安定的な需給を担う
――今後も電力の需給がひっ迫する状況が続きそうです。ガス会社はどのような協力ができるでしょうか。
池島:例えば、原子力発電所が稼働停止した時の代替電源として期待されている天然ガス火力発電所に対する天然ガスの供給があります。ガス会社も発電設備を持っていますので、発電量を増やして電力会社に供給することもできると思います。
さらに効果が大きいのは、需要側の節電です。これまで以上にエネルギーの有効利用が求められていますが、都市ガスによるシステムが役に立つのではないでしょうか。その一つがコジェネレーションを利用した分散型電源であり、系統電力への依存を抑制することが可能です。また、ガス空調の導入により、特に夏季や冬季の電力ピーク需要量を減らす協力もできると思います。こうしたことを含めて、エネルギーのベストミックスについて、我々がお役に立てる部分が非常にたくさんあると感じています。
――東京都が天然ガス発電所計画を最近発表しました。ガス事業者として、今後、発電事業にも積極的に入っていく計画があるのでしょうか。
池島:ガス事業者の計画につきましては、それぞれの会社の考え方があると思いますし、発電事業には、IPP(卸電力事業)もあれば、小売の発電所を作る事業もあります。東京都の計画では誰が事業主体になるのか、そのあたりをビジネスとしてどう考えるのか、電力供給体制が今後どうなっていくかを踏まえて判断すべきでしょう。できるだけ需要地に近いところに設備を持ち、排熱も利用して効率的にエネルギーを使うことは、我々がずっと推進してきたことですから、いろいろとお役に立てることがあると思います。