製紙業界の化石燃料使用量、1990年度比で25%減に


International Environment and Economy Institute

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 日本製紙連合会は、重油や石炭、オイルコークスなどの化石エネルギー利用量が、2010年度は、製品当たりの利用量である原単位換算で前年度比3.3ポイント減少し、基準年である1990年度の74.6%となったことを公表した。これは、製紙連がこのほどまとめた「環境に関する自主行動計画(温暖化対策)」の2011年度フォローアップ調査で明らかになったもの。製紙連は2007年9月に、2008~2012年度の5年間にエネルギー原単位で1990年度比20%削減するという方針を打ち出したが、これで4年連続で目標を達成した。

 フォローアップ調査は、行動計画の進ちょく状況を調べるため、製紙連の非会員企業4社を含む39社を対象に実施。全製紙会社の紙・板紙生産量の87.9%を占める36社104工場・事業所が回答した。調査結果によると、紙・板紙を1t生産する際に使用される化石エネルギーの熱量は1万817MJ(メガジュール)で、1990年度を基点とする指数が74.6%と、2009年度の77.9%から3.3ポイント改善し、目標値の80%を5.4ポイント上回った。

 一方、2010年度の化石エネルギー起源のCO2排出量は1875万tで、原単位換算(紙・板紙の生産量1t当たりの排出量)では0.78tと前年度比4.2ポイント改善した。製紙連は、2008~2012年度のCO2排出量を、原単位換算で1990年度比16%削減することを目標としているが、2010年度は1990年度比で77.4%と、目標値を6.6ポイント上回った。これは、生産プロセスで発生する黒液など再生可能エネルギーの利用が一段と進み、重油や石炭、オイルコークスの使用が減少したためだ。

 製紙連は温暖化防止の取り組みの一環として国内外の植林事業にも力を入れており、所有・管理する植林地を2012年度までに7000km2に拡大する目標を掲げている。2010年度末までの植林面積は、国内1480km2、海外5430km2で、合わせて6910km2となり、目標の99%に達した。植林は紙パルプ原料確保に加え、CO2の吸収固定や炭素の循環利用の観点からも重要で、東京農工大学や筑波大学との間で塩害地や乾燥地のような環境下でも生産性の高い樹種の開発研究にも取り組んでいる。

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