エネルギー政策の見直しに向けて


国際環境経済研究所前所長

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 民主党政調の成長戦略PTのエネルギー政策有識者ヒアリングに呼ばれ、6月30日8時からプレゼンしてきました。民主党の中での「常識」と異なる点がいくつも含まれていたようで、出席議員の方々からもさまざまな質問を受けました。

 中でも、次のような質問が印象に残りました。

質問:原子力国有化は難しいと(澤は)言うが、どのような根拠か。

回答:国直轄の事業として、原子力発電所を運営できると思えない
国は、原子力から撤退しないのであれば、原子力賠償措置法における事故時のリスクをより積極的に取ることで関与を増やすべきだが、その政治的意思が見えない。それゆえに国有化議論を一回はこなす必要がある。

質問:電力供給工程表作成は賛成だが、供給力だけではなく、需要についての綿密な見通しが必要ではないか。これまでの電力会社の見通しは当たった試しがない。

回答:確かに、需要想定については、これまで機械的に設定してきていたが、これから数年の間は需要見通しについて、相当きめ細かく積み上げる必要がある。また料金オプションとしても、需要の弾力性を高めるような仕組みを検討すべき時期。

質問:自然エネルギーを増やすための固定価格買取は必要だし、イノベーションも期待できる。

回答:原子力も政治的意思と資金注入を長年やって初めてここまでのシェアを得るようになった。風力にしても太陽光にしても、立地地域における抵抗はだんだん大きくなると思われる中、長年にわたって政治的・財政的資源をつぎ込み続ける覚悟はあるか。さらに固定価格買取は、参入事業者間に競争を促進するスキームではなく、新技術を開発するインセンティブがない。

質問:化石燃料確保が重要というのは同意する。しかし、コストはアップする。具体的にはどのように対処すればよいか。

回答:ユーザーとして大規模であることが重要な交渉力になる。また外交的にも戦略的に立ち回る必要があり、政府がもっと前面に出る必要がある。コスト的には、今後主流になると思われる天然ガスの調達契約を日本に有利なものとし、価格を低減していくことが戦略目標になる。

 昨今の政府のエネルギー政策について批判的な姿勢を取っている筆者をヒアリング対象に呼んでいただき、じかに与党議員の方々にお話しできる機会が与えられたため、その点は非常にありがたいと思いました。こうした機会は、筆者にとってもさまざまな見方や関心に触れるいいチャンスとなりました。

 今後ともこうした場があれば、またこのWEB上でご報告します。

資料:成長戦略PT資料(エネルギー政策の見直しに向けて)(PDF)

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