京都議定書は問題解決を遅らせる

日本は実質的な排出削減で世界に貢献を


国際環境経済研究所前所長

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京都議定書の延長では温暖化問題は解決しない

 さて、そうした思惑が渦巻いている国際交渉で、日本の対応はどうあるべきか。基本は三つだと考える。

 第一に、日本が会談するすべての相手国に対して、その国が掲げている目標の深掘りを求めることだ。日本は、物理的にほとんど達成不可能で、経済に大きなダメージをもたらすような目標を掲げている。したがって、どんな相手国にも、より意欲的な目標にするよう求める強い論拠がある。鳩山前首相も、25%削減目標の前提は、各国とも同じ程度の義務を負うことだと明言した。しかし、その後どの国に対しても、そうした働きかけをしてこなかったことは、非常に残念なことである。今からでも遅くはない。各国に対して強く要望していくことが大事である。

 第二に、米国が脱退し、中国などの新興国に削減義務のない京都議定書では、真の温暖化問題の解決にならないことを強く国際世論に訴えかけていくことである。

 京都議定書では、現在でも世界の4分の1の排出量しか削減対象になっていない。そのうえ、新興国を中心に今後排出が増えていくため、そのカバーする範囲はもっと小さくなっていく。京都議定書を延長してしまえば、削減義務のない新興国や脱退した米国は、今後10年近く何もしなくなってしまう。その間に温暖化が進んだとしても、それらの国々に対して、まったく法的な責任を問えない。京都議定書は、それに参加して目標が達成できなければ罰を受けるのに、そもそも参加しなければ何の罰もない、という変な条約なのである。

 第三に、国連での交渉以外で日本が排出削減に国際貢献していく道を探ることである。