食品ロスを減らすなら上手なフリージングから
丸山 晴美
消費生活アドバイザー
10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」でした。昨今の食品の価格の状況は、加工食品だけではなく、素材となる肉や魚、野菜、卵なども値上がりが続いています。今までと同じような買い方では、予算オーバーになってしまうため優先順位を考えて買うようになりました。
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- メインの食材を選ぶ 旬の野菜、お肉(鶏胸肉や豚こま、ひき肉などその時に安いものを選ぶ)
- 2
- サブの食材を選ぶ 豆腐などの大豆製品、乳製品や卵、調味料、果物など栄養バランスと値段を考えながら追加
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- 嗜好品は最後お菓子や菓子パン、ジュースやお酒は予算が余ったら必要な分だけ買う
この優先順位の基準を考えながらお買い物をすると、個人的には無駄な買い物を減らすことができています。食品ロスを減らす方法としても、買いすぎないことが挙げられていますから、よかったらご自身の優先順位の基準を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
自炊中心で生活をしていると、買い方はもちろんのこと最後まで無駄なく食べきることも大切です。
農林水産省の「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」によると、日本の食品ロスの状況(令和3年度)は、約523万トン。そのうちの事業系は約279万トン、家庭系は約244万トンで、国民1人当たり1日約114g(※茶碗約1杯(約150g)のご飯の量に近い量)で、年間約42kgにもなる量です。
そもそも食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことで、たくさん買って食べきれずに処分したり(食べ残し)、野菜の皮を食べられる部分まで厚くむいて、その皮を処分したり(過剰除去)、賞味期限切れや消費期限切れで処分された(直接廃棄)があります。つまりまだ食べられるにもかかわらず、一般家庭では約244万トンの食品ロスが発生しているので、足元の生活から見直していくことで食品ロスを減らすことができるというわけですね。
食品ロスに関しての日々の生活の中での工夫は以前にもブログにしましたが、今回は過剰除去対策について最後まで美味しく食べきる工夫をご紹介したいと思います。
先日肌寒くなった日のこと、おでんを作ることになりました。具材はシンプルに大根、玉子、こんにゃく、昆布です。
大根は皮を厚めにむいて、残りをどのように食べようかと考えながら下処理をしていました。悩んでとりあえず皮を野菜室に入れておいても、そのまま朽ち果てていくのを見守るだけだと思い、フリージングにしました。
大根2本分の皮と葉、根の部分をそれぞれ分けてフリージングしました。これは冷凍庫へ入れる前の状態です。下ゆでなどの処理はしていません。凍ったまま加熱調理します。
こうしてみると、大根2本分の可食部はなかなかの量がありますね。これを捨てるのはもったいないことだと改めて感じます。これを活かせば、無駄も出さず1品にも何品にもなる可能性はあります。私が想定している使い方は、皮はみそ汁の具やきんぴらに、さいの目切りにした大根の下の部分はカレーの具にします。葉はみそ汁もしくは油揚げとあわせてみそ炒めにしてもよさそうです。
このように工夫をすれば、食品ロスの過剰除去はかなり減らすことができますね。もちろん最初から皮ごと調理でもよいのですが、おでんの大根のように皮は厚めにむいたほうが美味しく感じるものもあり、せっかく食べるなら美味しくいただきたいですからね。
余談ですが、おでんの大根は両面に十文字に切り込みを入れて、真ん中に竹串で小さな穴をあけておくと、中心に味が染み込みやすくなるので、おすすめです。面取りをしていないのは面倒だからというのは内緒です。面取りも食品ロスの過剰除去になりかねないですからね。画像の大根は、圧力鍋で加熱した後です。
最後まで美味しく無駄なくいただく工夫や仕組みを作ることで、家庭での食品ロスはまだまだ減らせる余地はありますし、上手に食材のやりくりをすれば、ふくらみがちな食費も抑えることができますね。