ガスの節約術 キッチン編


消費生活アドバイザー

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 この冬は節電だけではなく、節ガスも必要になりそうです。日本は都市ガスの原料である液化天然ガス(LNG)を輸入に頼っており、LNGの年間輸入量の約9%をロシアに依存しています。そのため、安定した調達に支障が生じた場合を考えて供給面の対策と利用者の節ガスで、備える必要があります。

 また、電気代だけではなく、ガス代の値上げも続いているため、この冬は節電、節ガスを心掛ける必要があります。前回は、ガスの中でも消費量が多い給湯のお話をしましたが、今回はキッチンの給湯とガスコンロの節ガステクニックを紹介します。

キッチンの給湯は38℃程度の低めに設定

 冬になり水温が下がると、食器などの油汚れが落ちにくくなるため、お湯を使う頻度も増えますが、給湯温度を38℃程度のぬるま湯にすると、節ガスにつながります。洗う前に食器などについた汚れはゴムベラなどで落とすと、少ない台所用洗剤で汚れが落ちます。
 給湯器の設定温度を40℃から38℃に下げ、65リットルの水道水で1日2回食器などを手洗いした場合、年間で1430円の節ガスになります注1)

 なお、風呂場の給湯パネルで「優先」機能が設定されている場合、そこで設定した温度が優先されるため、キッチンの給湯パネルで温度設定が変更できません。変更するには、優先ボタンを押して解除してからキッチンで給湯温度を変更しましょう。

洗い物が多い家庭は食洗機もおすすめ

 家族が多く洗い物が大量に出る場合は、湯を使って手洗いするより、食洗機を使用した方がお得になります。

 お皿を手洗いする場合に掛かるのはガス代と水道料金ですが、食器洗い乾燥機の場合は電気代と水道代です。
 食器を40℃の湯で手洗いした場合(1日2回)と、食洗機の標準モードで洗浄した場合(1日2回)を比較すると、食洗機方が水道代と光熱費(ガス代・電気代)合わせて月に約714円、年間で8,570円も節約になります注2)

 鍋はふた、落しぶたをし、鍋からガスの火がはみ出さないようにしましょう。
 鍋をコンロにかける際は、できるだけふたや落としぶたをして、熱を逃がさないようにしましょう。これだけでも、ガス使用量を約11%節約することができます注3)

 鍋の底からガスコンロの炎がはみ出ると、はみ出た分のエネルギーがムダになります。鍋底から炎がはみ出さない程度の中火を意識しましょう。また、強火で加熱すると鍋の取っ手部分が溶けたり、傷む原因にもなるので気を付けましょう。

 熱効率が良い鍋は、フライパンのように鍋底が広く平らな鍋です。鍋底が濡れていると水滴を乾かすのにもエネルギーを使ってしまうため、底の水気を拭き、コンロに乗せてから点火するようにしましょう。細かいことですが、日々の心掛けと習慣化が節ガスには大切なことです。

野菜はレンジで加熱

 じゃがいもやニンジンなど根菜類など火が通りにくい野菜は、一度レンジで加熱してから入れると、煮る時間を短縮できます。ほうれん草などの葉物野菜も、鍋でゆでるよりも電子レンジで加熱したほうが早くゆであがり、鍋などの洗い物も減らすことができます。
 また、圧力鍋や保温調理器など節ガス効果が期待できる鍋を使う方法もありますが、保温調理器がなくても、具材を入れて煮立たせてから火を消した後、鍋を保温性の高い素材で包んで余熱で調理することでそれに近い効果を期待することができます。

 細かいことですが、ガスコンロのバーナー部分が汚れていると効率が悪くなるため、バーナーキャップは定期的に掃除をしましょう。

注1)
資源エネルギー庁省エネポータルサイト「家庭でできる省エネ:無理のない省エネ節約 キッチン」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html
注2)
資源エネルギー庁省エネポータルサイト「家庭でできる省エネ:無理のない省エネ節約 キッチン」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html
注3)
東京ガス都市生活研究所「ウルトラ省エネブック」
https://www.toshiken.com/ultraene/kitchen/