フードロスを減らして環境とお財布に優しい生活


消費生活アドバイザー

印刷用ページ

 暑い日が続きますね。暑いと食べ物が傷みやすくなるので、買う量、作る量、保存により気を付けなくてはいけません。お味噌汁といった汁物は、朝作ったものでも保存場所によっては夜には傷んでいることもよくあります。家族の人数に合わせて食べ切れる量を作ったり、冷蔵庫で保存したり、途中で火をいれたり対策をして最後まで美味しく食べきりたいものです。
 消費者庁消費者教育推進課が出した「食品ロス削減関係参考資料」(令和元年7月11日版)によると、日本国内の食品ロスは年間643万トン(平成28年度推計)。年間一人当たりの食品ロス量は51キログラムです。「食品ロス」とは、本来はまだ食べられるのに捨てられてしまう食品で、その内訳は「事業系廃棄物由来」が約352万トン。「家庭系廃棄物由来」が約291万トンと、どちらも半々くらいの割合です。
 総務省の「家計調査平成30年」では、食費は消費支出全体の25.5%を占めています。金額にすると、6万2831円ですが、そのうちの何割かは買っても食べきれずに捨ててしまっている食品があるのです。

 この数字は、家庭で出される食品ロスの内訳(平成28年度)です。
 「直接廃棄」とは、冷蔵庫などに入れたまま調理されずに、食べられることなく廃棄されたもの。「過剰除去」とは、野菜の皮を厚くむきすぎたり、脂身の部分などを調理せずに捨ててしまうこと。「食べ残し」は、調理して食べ残したものです。
 10月には消費増税10%が予定されており、より税負担を感じてしまうでしょう。食品は軽減税率の対象のため、税率は変わらず8%ですが、ここ数年は食品の値上げや数量を減らした実質値上げなどで、食費も膨らみがちです。しかし、家庭での食品ロスを減らすことで、ゴミが減り、食費の節約にもなります。

 家庭でできる食品ロスを減らすアクションとして、消費者庁が「今日から実践!食品ロス削減家庭編」で、「買物」、「保存」、「調理」時にするポイントを紹介しています。

参考
URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/pamphlet/pdf/pamphlet_181029_0002.pdf

「買物」
・事前に冷蔵庫内などをチェック
・買物は使う分だけ
・手前に陳列されている食品をチョイス

「保存」
・最適な保存場所に
・まとめて下処理
・ローリングストック(期限の長い食品を奥に、近い食品を手前に)

「調理」
・残っている食材から使う
・食べきれる量を作る
・食材を上手に食べきる

 さらに追加するなら、
 買い物は毎日行かない。(毎日行くとつい買いすぎてしまうため)買いすぎを防ぐために、空腹時を避けて行く。値引きシールや半額シールの商品を買うならその日食べる分だけにする。
 保存は、少し余った肉やご飯など、とりあえず冷凍庫で眠らせない。少量残ったお肉やご飯は、冷凍庫の中で迷子になりやすく、気がつくと冷凍焼け等食味が落ちてしまい、結局は利用されないまま捨ててしまうことも。あと少しであれば、全量を使って使い切る。もしくは、次の献立の中に加えて早めに使い切る。そして残りごはんは、専用の冷凍バッグに入れてある程度まとまったところで、リゾットなどに加工して食べきりましょう。冷蔵庫にレシートを貼って、使ったものを消していく。
 調理時は皮や葉といった捨ててしまいがちな食材は、スープや春巻き、きんぴらといったひと品にする。残ったおかずは、リメイクして美味しく食べきる。

 これらができれば、かなり食費と食品ロスは減るでしょう。家庭内の食品ロスは心掛け次第で大きく減らすことができるでしょう。

 事業系の食品ロスは、規格外品、返品、売れ残り、食べ残しが主な食品ロスの原因となっています。まだ食べられるのに、さまざまな理由で年間約352万トンが廃棄されています(平成28年度)。

 コンビニで販売されているお弁当やおにぎり、サンドイッチといった消費期限が短い商品は、従来は値引き対象ではありませんのでした。時間が来れば廃棄されるコンビニの商品のほとんどはフランチャイズ店ではオーナー側の負担でした。ロス率が高ければそれだけ利益にも影響をします。こうしたオーナーの負担やフードロスの観点から、各コンビニチェーンでは、販売期限まで時間が迫った商品を値引きもしくはポイント還元する動きとなっています。
 また、ファミリーマートでは、19年度からは、土用の丑の日に販売するウナギやクリスマスケーキなど季節商品4つを完全予約制に切り替え、店頭には並べないと発表しています。値引きや予約をすることで、フードロスを減らすことができれば、利益率の改善にもつながりますので、良い方向に向かっていると思います。

 また、外食産業では、食のシェアリングエコノミーが広がりつつあります。スマホアプリの「TABETE」は、まだおいしく食べられるけれど、閉店時間や賞味期限などの理由からお店が廃棄せざるを得ない食事をユーザーが食べて救済するサービスです。


「TABETE」救済事例


「Reduce GO」余剰食品例

 「Reduce GO」は残ったり、余剰食品を手頃な価格でテイクアウトできるスマホアプリサービスです。月額1,980円で、毎日2回まで注文することができます。アプリで周辺のお店を探して、タップして注文、指定時間に受け取りに行くといったシンプルなものです。
 毎日2回まで注文できるものの、いつも活動エリアに余剰食品があるとは限らないので、有料会員になる際は、会員登録(無料)をして動きを見ると良いでしょう。

 スマホアプリなど、情報端末の発達により今まで廃棄されていた食材が救済されるのはとても良い試みだと思います。今後は更にこうしたお店と消費者をつなぐマッチングアプリが登場し、お店はロスが減り、消費者は安く商品を手に入れられるようになるでしょう。