だれにでもわかる気候モデルの問題点

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(英 Global Warming Policy Foundation(2019/06/19)より転載
原題:「CLIMATE MODELS for the layman」)

 地球気候モデル (GCM) の信頼性と有用性についてはかなりの論争がある。この論争は気候科学者の間でも起きていて、観測に基づく分析に比べて気候モデルをどの程度重視すべきか意見がわかれている。またGCMの結果は経済学者や規制当局、政策担当者にも使われるので、さらに広い科学者、エンジニア、ソフトウェア専門家、科学哲学者たちからもかなりの指摘を受けている。この報告は、GCMを取り巻く論争について、素養はあっても専門家ではない人々に向けて説明する。

主要論点

GCMはエンジニアリングや規制科学で一般に求められる、厳密な検証や裏付けを受けていない。

複雑で非線形の気候システムがそもそも予測できるのかという、もっともな懸念も存在する。

気候モデルは、20世紀の温暖化のどこまでが人為的でどこまでか自然由来かを高い確信度で同定するには適さないという結論を支持する議論が無数にある。

気候モデルが大気中の二酸化炭素増加に基づいて予測する温暖化が大きすぎるという証拠が増えている。

気候変動に関する政府間パネル (IPCC) が報じる21 世紀についての気候モデルシミュレーション結果は、気候の変動を左右する決定的な要素をいくつか含んでおらず、したがって 21世紀の気候が実際にどう推移するかという予測として役に立たない。

 気候モデルは、気候システムを理解するための科学研究には便利なツールである。しかし上の論点から考えて、現在のGCMは20世紀の温暖化原因を同定したり、何十年、何百年という時間軸で世界や地域の気候変動を予測したりするには適さない。つまりGCMは世界の社会、経済、エネルギーシステムを根本的に変えるような政策を正当化するには適さない。そんな気候モデルから得られた結果を使おうとするから、気候モデルを取り巻く論争もなおさらとげとげしいものになってしまうのだ。

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【 著者紹介 】
 ジュディス・A・カリー教授は天候と気候に関する科学論文を180 本執筆し、1992 年にはアメリカ気象学協会からヘンリー・G・ホートン研究賞を受賞している。ジョージア工科大学で地球大気科学学部教授および学部長を務め、最近引退。現在は気候予測応用ネットワークの会長を務める。

解説:キヤノングローバル戦略研究所 杉山 大志

 標題の通り、地球温暖化の予測に用いられる気候モデルの問題点についての分かり易い報告である。
 Global Warming Policy Foundationの既往の報告書が、山形浩生氏によってこのたび邦訳され、公表された。ここに許可を得て紹介する。

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