GVC(グローバル・バリューチェーン)とは


国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授

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 新たな地球温暖化対策として、企業による「GVC」(グローバル・バリューチェーン)が注目されている。バリューチェーンとは、企業活動における業務の流れを工程・タスク単位で分割し、業務の効率化や競争力の強化を目指す手法のことである。企業は素材や部品の調達、製品の製造、サービスの提供等、世界中にバリューチェーンを張り巡らせているが、そのバリューチェーン全体のライフサイクルを通じた温室効果ガス排出削減を目指す取組みが、グローバル・バリューチェーンである。

 例えば、従来製品よりも省エネルギー性能に優れた製品を製造する場合、その製造段階でCO2排出量が増えたとしても、ユーザー(消費者)の使用段階で大幅にCO2排出削減を可能とするならば、グローバル・バリューチェーン全体ではCO2排出量の削減を実現することになる。優れた省エネ・低炭素製品を製造・販売する日本企業にとって、今後の地球環境問題に大いに貢献できることが期待されている。

 2016年11月に発効したパリ協定の長期目標(2℃目標)の達成に向けて、2017年4月経済産業省の「長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書」では、産業界がグローバル・バリューチェーンを通じた貢献を目指し、こうした貢献を『見える化』していくことが必要であると提言した。これを受けて2018年11月、日本経済団体連合会は、「グローバル・バリューチェーンを通じた削減貢献~民間企業による新たな温暖化対策の視点」と題したコンセプトブックを刊行し、17業種・企業による、GVCを通じた削減貢献の意義や削減貢献量の「見える化」事例を紹介している。

 本企画では、日本の産業界がグローバル・バリューチェーンにどのように対応していくのか、各業界の取組みの概要や今後の展望等について責任者にお話を伺い、シリーズでお届けしていく。