都市型清掃工場は開放的でおしゃれ!
災害時は地域エネルギー供給拠点に
松本 真由美
国際環境経済研究所理事、東京大学客員准教授
ガス・コージェネレーションにより、系統電力が途絶した非常時でも焼却炉の立ち上げ、立ち下げができるため、市役所(災害対策本部機能、行政機能)や総合体育館(緊急物資輸送拠点機能)、緑町コミュニティセンター(災害時地域支え合いステーション機能)、緑町ふれあい広場(電灯点灯)の必要な電力を確保することができ、あわせて蒸気も供給することが可能になりました(図)。新施設と近隣公共施設を一括して、特別高圧受電(電圧6万6000ボルト)にしています。
施設の2階は、中央のごみピット・プラント炉室を取り囲むように広い通路がつくられています。
「ごみピット、プラント設備、中央制御室もすべてガラス張りにして、2階に見学可能な周回ルートを設け、ごみ処理の仕組みを理解してもらえるようにしました。完成後は誰でも予約なしで自由に見学できます。ごみ処理のプロセスを臨場感もって体験できます」(神谷氏)。
見学のほか環境学習のワークショップなど、多様なコミュニケーションの場にする予定です。
都市型清掃工場の新しいモデル
武蔵野市の新クリーンセンターは、環境省の平成27年度環境・循環型社会・生物多様性白書の中で、防災・減災拠点にもなる廃棄物処理施設の推進事例として取り上げられ、国土強靱化に資する可能性があるとされています。
清掃工場というと、迷惑施設のように思われがちですが、新武蔵野クリーンセンター(仮称)はそうしたイメージを根本から覆すことになりそうです。「市民に開かれたオープンな工場」「周辺環境と調和した美観」「災害時の周辺施設へのエネルギー供給」など、さまざまな機能や利点を備えた都市型清掃工場の先進モデルの1つになるでしょう。すでに工事の段階で全国の自治体から問い合わせや視察が相次いでいるそうです。来年4月の本格稼働後は、いつでも、誰でも、自由に工場見学できる予定ですので、私も改めて訪ねるつもりです。