第7話「IAEA総会(下)」


在ウィーン国際機関日本政府代表部 公使

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2016年はIAEAにとって節目の年

 総会が終わり、世界各国からやってきた代表団が帰国し、サイドイベント会場も撤収されると、会場となったウィーン国際センターも静かになる。
 その中で、翌週の月曜日には、再び理事会が開催される。総会前の一週間に開かれる理事会からメンバー構成が入れ替わっており、全35ヶ国の理事国のうち、総会期間中に新たに選出された11ヶ国の新理事国が入った形で行われる。
 この理事会での最初の仕事は、新たな理事会議長の選出である。昨年9月から一年間、理事会議長は、東欧グループ出身のスロバキアのマルタ・ジャコヴァ(Marta Ziaková)女史が理事会議長を務めてきた。同女史に替わり、本年9月から一年間は中南米グループ出身のビーニャス(Laércio Antonio Vinhas)ブラジル代表部大使が議長を務めることになった。新たに議長席に座った同大使の最初の仕事は。来年までの理事会、総会など主要行事の日程の決定である。来年のIAEA総会は、本年より少し遅めの9月26日から30日まで開かれることが決められた。同大使は、事務局のサポートを受けながら、順調に議事を進めていった。
 なお、この総会明けの理事会では、手続き事項のみを淡々と決めるものであり、実質的事項は取り上げられないのが通例である。他方、今回は、総会終了直後に天野事務局長がイランを急遽訪問したこともあり、その結果報告がこの理事会の機会を使ってなされた。

新たに理事会議長に就任した、ビーニャス・ブラジル代表部大使(中央) (写真出典:Dean Calma/IAEA)

新たに理事会議長に就任した、ビーニャス・ブラジル代表部大使(中央) (写真出典:Dean Calma/IAEA)

 いずれにせよ、2015年のIAEA第59回総会は終わった。
 来年の2016年は1956年のIAEA憲章採択から数えて60周年の記念の年であり、IAEA総会は1957年の第1回総会から数えて60回目の節目の総会となる。来年のIAEA総会はどのようなドラマが待ち受けているであろうか。

(※本文中意見に係る部分は執筆者の個人的見解である。)

【参考資料】

外務省ウェブサイト
(国際原子力機関(IAEA)第59回総会(結果))
http://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/n_s_ne/page3_001389.html
IAEAウェブサイト
(59th IAEA General Conference (2015) Resolutions and Other Decisions)
https://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC59/Resolutions/

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