2030年度電源構成のなかの再生可能エネルギー(再エネ)比率の意味を考える(その2)
当面、石炭火力を利用すれば、再エネ電力の利用は不要である
久保田 宏
東京工業大学名誉教授
地球温暖化対策とバッテイングしない石炭火力の利用を求められている
ところで、いま、この石炭火力の利用を阻んでいるのが、上記した地球温暖化の問題である。すなわち、同じ火力発電のなかで、CO2の排出量が最も多いとして、環境省による規制で、2005年度以降、この石炭火力の新増設が認められなかった。今でも、3.11の原発事故後の規制の緩和を利用した電力会社による石炭火力発電所の新増設計画を支援する経産省と、温暖化対策にこだわる環境省との間で、その利用の可否を巡ってせめぎ合いが続いているようである。
しかし、本稿(その3)で述べるように、地球の問題としての温暖化を促すとされるCO2の排出の増加を抑制できる方策を世界に向って提示できれば、日本は、当分は、石炭火力を使うことで、化石燃料の輸出金額を低減することが許されるべきである。
引用文献
- 2-1.
- 日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット編;EDMエネルギー経済統計要覧、2015年版、省エネセンター、2015年
- 2-2.
- 久保田 宏;科学技術の視点から原発に依存しないエネルギー政策を創る、日刊工業新聞社、2012 年