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核燃料サイクル政策のあり方についての提言(第4回)


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2. 六ヶ所再処理、中間貯蔵はあくまでもSNF処分工程の中間的措置である

 六ヶ所再処理工場で成形加工したMOX燃料は、軽水炉で燃焼後は中間貯蔵施設で貯蔵保管される。同工場処理能力を超えて発生する軽水炉SNF貯蔵保管のためのバッファー措置の目的もある。既に2万トン近いSNFを抱え、今後の継続的発生を考えれば、中間貯蔵施設増強は差し迫った国家的要求である。しかも無期限な貯蔵保管を期待することは不可能である。その意味では軽水炉SNFの再処理も、中間貯蔵もあくまでもSNF処分という全体的な開発プロセスの中間的措置に過ぎない。現状では中間貯蔵期間経過後のSNFの行く先は全く決まっていない。中間貯蔵施設の立地は可成りの困難が予想されることを考慮すれば、中間貯蔵期限経過後のSNF処分の行く先を明示することは、立地地元の合意を得る上で重要な条件である。行く先不明では、立地地元の合意をとることは殆ど不可能である。

3. SNF最終処分への道筋には2つの選択肢がある

 選択肢の第1は直接処分であり、第2は高速炉サイクルである。高速炉サイクルはSNF再処理で最終的に発生する高レベル廃棄物の減容・有害度低減に期待されるが、実用レベルでの実証性はまだない。もんじゅに続く仏ASTRID計画への参加と、国際協力の効果が期待されている。国際的視点からすれば、激動する昨今の国際情勢にあって、核不拡散・核セキュリテイ政策に慎重な米国政府の国際政治主導の立場があり、日米仏同盟国間でさえ統一したSNF処分方策について合意が得られるような状況にはない。国情の差もあるが、SNF処分に関しては日本は最も厳しく、差し迫った状況にあることは間違いない。何れの方策も現状では多くの解決すべき課題を残しているが、将来の方向性については十分に議論が尽くされてはいないので、当面はわが国としては2つの選択肢への同時並行的取組を進めるべきである。国情に適合する最終処分のあり方としては、最終的に残る高レベル廃棄物について、環境負担をミニマムに抑えることにある筈である。その意味で高速炉サイクルの自主的開発を優先して継続することを政策として明示すべきである。高速炉技術の実証には(高速炉SNFの再処理開発を含めて)まだ相当の時間的距離を残しているが、常陽で自主的に経験した初期の高速炉技術実績は貴重な国家的資産である。もんじゅに続く高速炉開発の道筋としては、仏ASTRIDへの協力を側面におきながら、実証炉、実用化への継続的な開発の道筋を描くべきである。実用化目標は、バッファーとしてのSNF中間貯蔵施設の時間軸上の位置づけを考慮すれば、2060~70年頃とすべきであろう。

{提言}
 SNFの適確な処分方策は、原子力利用継続の上で必要不可欠な条件であり、エネルギー安全保障の基本的条件である。処分方策の目的は、最終的に残る高レベル廃棄物による環境負担を最低限に抑えることとすべきである。当面六ヶ所再処理工場で処理しきれないSNF、および軽水炉での使用済MOX燃料は中間貯蔵施設を増強して対処することとしているが、これも立地選定上の困難性が高く、国が前面に立って対応する必要がある。立地点選定が可能となっても、無期限の貯蔵保管が可能とは考えられない。SNF処分方策としては直接処分と高速炉サイクルの2つの選択肢があるが、当面わが国は両方策の開発を併行して進めるべきであろう。特に最終廃棄物の減容・有害度低減が期待される高速炉サイクルの実用化開発には数十年を要するが、2060~70年を目途として着実な開発を進めるべきである。
 国は緊急を要する中間貯蔵施設設置を積極的に進めると共に、その後の措置として、SNF処分で最終的に残る高レベル廃棄物について、環境負担を最低限に抑えることを目標とする高速炉サイクルの実用化開発を進めることを明示し、国民の理解を求めるべきである。

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