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放射線と放射性物質(その2) 原子核と放射性物質


国際環境経済研究所主席研究員


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2) 放射線被ばく量の単位;吸収線量グレイと線量当量シーベルト
 ある物質が放射線を浴びたときに吸収した放射線量をグレイ(Gy)という単位で表す。
 1Gyとは1kgの物質が1ジュール(J)のエネルギーを吸収することである。放射線の影響はその種類や浴びる組織によって異なることから、吸収線量Gyに放射線の種類と組織ごとの修正係数をかけて線量当量シーベルト(Sv)を計算する。
 修正係数(放射線荷重係数)はX線・γ線・β線は1、陽子線が5、α線が20、中性子線はそのエネルギーによって5~20の範囲である。今回の事故で問題になる放射線はセシウム137が主でX線・γ線・β線であり修正係数は1であるから吸収線量Gyと線量当量Svは同じ値になる。この修正係数に単位はないので、Svの単位はGyと同じJ/kgになる。SIが登場するまで、線量当量はレムrem、吸収線量はラドradを単位にしていた。

注)
1Gy = 1J/kg=107erg/kg=100rad 1rad=100erg/g
1Sv = 1,000mSv = 1,000,000μSv 1Sv=100rem, 1mSv=100mrem

 1時間あたりの生体の被ばくの大きさを毎時シーベルト (Sv/h)という単位で表し、1Sv/hは1時間に1Svの被ばくを受けることに相当する強さである。1μSv/hの被ばくを8時間受けると、蓄積線量は8μSvになる。200mSv/hの被ばくを15分間受けると、蓄積線量は50mSvになる。電力のキロワット(kW)とkWhの関係と同じである。

 短時間に2 Svの放射線を全身に浴びると5%の人が死亡、4Svで50%、7 Svで99%の人が死亡すると言われる。200mSv以下の短時間被ばくでは、急性症状は認められないが、長期的な放射線曝露の影響についてはいろいろと議論がある。Svは今回のような低線量率被ばく環境下での蓄積線量の人体への影響を評価することを目的に作られた単位であり、放射線の種類や対象組織による係数をかけて値を求める。人体保護を目的とする放射線管理のために用いられる社会学的な単位である。

 Svの名称は放射線防護の研究で功績のあったロルフ・M・シーベルト(Rolf Maximilian Sievert)に、Gyは吸収線量の概念を単位にしたルイス・H・グレイ(Louis Harold Gray)にちなむSIである。

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