COP20 参戦記(その1)
-論点整理-
竹内 純子
国際環境経済研究所理事・主席研究員
<論点3.約束の法的拘束性について>
一部の国は、この約束を法的義務とすべきと主張しており、国際的な法的拘束性の範囲等については意見が分かれている。約束の順守を法的義務としなければ全体としての削減量の見通しがつかないが、法的義務として拘束性を持たせれば、目標が未達であった場合にどう対応するのかといった問題が生じる。
京都議定書第一約束期間においては先進国の削減は法的義務とされ、目標未達であった場合には未達分の1.3倍の削減が第二約束期間の削減義務量に付加されるなどの罰則が定められていた。しかし例えばカナダなどのように、目標達成が不可能であることが明らかになった国は第二約束期間の枠組みに参加しないことを選択するようになる。これでは各国の自主的な目標設定を前提として、すべての国の参加を求めた将来枠組みのメリットが失われてしまう。
日本は、約束自体は法的拘束性の対象とすべきでないが、全ての国は、定量化可能な約束草案の提出(比較的排出量の少ない、かつ能力の限られた国は定性的貢献を提出することも検討しうる)、約束達成に向けた対策の実施、事前協議と事後レビューを受けることの3点を義務として受け入れるべきと主張している。
これ以外にも、各国の取り組みの評価・レビューをどのように行うか、先進国と途上国の貢献内容をどう差異化するか、資金支援をどう具体化していくかなど、論点は尽きることが無い。途上国と先進国の溝は相変わらず深く、そして、先進国の中でも当然立場はわかれ、途上国の中でも複雑な利害対立が見られるようになっている。
12月8日、COP20の第二週が始まった。一週間後にはどんなドラマが待っているだろうか。