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ドイツの電力事情⑫ ”脱原発”の経緯とコスト(前編)


国際環境経済研究所理事・主席研究員


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2010年12月の原子力法改正

 しかし、原子力発電廃止の期限である2022年が近づくと、安定供給に支障を来す恐れがあるという現実が立ちはだかったのである。2010年12月、原子力の使用期間を延長する趣旨の原子力法の改正が行われた。主な内容は下記のとおりである。

各原子炉の使用期限を2002年法と比較して平均12年延長、最大14年(最長で2035年頃まで)延長
「核燃料税」 を導入
※ 運転延長の見返りとしてすることについて事業者から合意を取り付けたと言われる
バックフィット条項を追加
※ 既に運転を認可されている施設・設備に対して、より高い安全性を持たせることのできる新技術が開発された場合その導入を求めるもの。法律は「不遡及」が大原則であり、実行時に合法であった行為を、事後に定めた法令によって遡って違法とされることは許されない。しかしその原則を越え、新技術の導入を義務付けることにより軽減できるリスクが大きい場合にはそれを認める条項

 電力安定供給や電気料金抑制の観点から原子力発電所の使用延長を定めたこの原子力法改正は、東電福島原子力発電所事故が発生するわずか3ヶ月前のことであった。

<参考資料>
◯ ドイツにおける脱原発運動の経緯や緑の党の発展については、熊谷徹氏著「なぜメルケルは『転向』したのか」(日経BP社)に詳しい。
◯ 21世紀政策研究所「新たな原子力損害賠償制度の構築に向けて

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